研究課題/領域番号 |
16K12061
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
安藤 詳子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (60212669)
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研究分担者 |
杉田 豊子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 助教 (10454373)
大野 晶子 日本福祉大学, 看護学部, 准教授 (30285233)
阿部 まゆみ 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 特任准教授 (80467323)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 外来 / がん患者 / 看護面談 / 診断早期 / 緩和ケア |
研究実績の概要 |
がんの罹患率・死亡率が高まる中、早期診断、早期治療へと関心が集中している。外来診療で、がんを告知する頻度はますます増え、患者と家族が支援を求める声は質量ともに増大している。しかし、そこに応えるべき、外来「がん看護面談」を担当する看護師の方略は整っていない。本研究は、最初に診断結果を告知する外来の診療場面に看護師が同席し、その後、「がん看護面談」を実施する際に、面談を担当する看護師をアシストする3ツール(進行・対応・継続)の開発を目指す。平成28年度、初年度は、ほぼ計画通り、外来がん看護面談のための3ツールを試作した。 面談の進行ツール「面談の進め方手順」について、先行研究で自作した「外来がん看護面談のてびき-診断早期の“がんになったら手に取るガイド”活用版」を基に、話題の流れや時間的経過を考慮し実際的な手順を試作した。 面談の対応ツール「コミュニケーションスキル」について、マイクロカウンセリングを基本概念とし、がん相談の実際に用いるスキルを骨格に35項目を構成し、面談後に看護師がスキルを自己評価できるチェック形式を付加し、スキルの解釈と用い方の分かりやすい解説も用意した。 面談の継続ツール「面談振り返りシート」について、面談のストーリーを振り返り、看護師が各ステップを自己評価できるチェック形式を付加し、患者と家族の反応について気づいた点・印象などを記すポイントメモ欄を付けた。 以上3ツール試作の内容吟味のため、外来がん看護面談を担当する東海地区のがん看護専門看護師や認定看護師にフォーカス・グループ・インタビューを実施した。その結果に基づき、面談を担当する看護師が、適切なコミュニケーションスキルを用いて、患者と家族の関心事を引き出しながら心理的支援と情報提供を進め、事例を蓄積して有効な外来がん看護面談を継続するための手段となるように専門家グループにより修正を重ねた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、ほぼ計画通り、前述のように外来がん看護面談のための3ツールを試作した。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度、外来がん看護面談のための3ツールを実際に活用した上でツールの改善点など回答を求めるパイロットスタディを計画していた。しかし、平成28年度、外来がん看護面談を担当する東海地区のがん看護専門看護師や認定看護師にフォーカス・グループ・インタビューを実施した際に、体験に基づいた貴重な意見を聴取することができた。そのため、パイロットスタディの意義は薄れ、既に得られた資料を十分に吟味して進めたい意向である。 そして、平成29年度は、平成30年度に予定していた全国調査を実施したい。調査の対象と方法についても変更を検討している。対象は当初「最近3年間(2012~2017)に日本がん看護学会・日本緩和医療学会・日本死の臨床研究会等に、がん看護面談活動について演題等で報告している病院看護師」を予定していた。しかし、該当する対象者数が限られるため再検討し、「特掲診療料(がん患者指導管理料1または2)届出施設に所属し、日本看護協会のホームページに氏名と所属を公表している、がん看護専門看護師、認定看護師(緩和ケア、がん性疼痛看護、がん化学療法看護、乳がん看護、がん放射線看護)」の変更案を打ち出した。その方が調査対象者数と回収数を数倍見込めることを推計した。また、調査法はデルファイ法を予定していたが、ある程度の回収数を見込める可能性があることから、主に間隔尺度を選択肢とする質問形式に変更し、変数間の関連性を分析して新たな知見を見出したい。 そして、平成30年度は、全国調査の分析結果について総括し、実際の外来がん看護面談を担当する看護師をアシストするツールとして、分かりやすく活用しやすいハンドブック(冊子体)を作成して現場に届け、普及啓発に向けた教育プログラムの立案へ展開していきたい意向である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に実施した「外来がん看護面談を担当する東海地区のがん看護専門看護師や認定看護師に対するフォーカス・グループ・インタビュー」について、当初の計画に比べ、会場など学内の協力を得て効率よく実施することができたことにより残金が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度における調査対象を予定よりも広げ、調査方法も変更する見込みで紙面が増えるため、調査費の郵送料や印刷費等が予定より上回る可能性があり、補充する費用としたい。
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