研究課題/領域番号 |
16K12071
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研究機関 | 岡山県立大学 |
研究代表者 |
名越 恵美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (20341141)
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研究分担者 |
難波 峰子 関西福祉大学, 看護学部, 教授 (20461238)
掛橋 千賀子 島根県立大学, 看護学部, 教授 (60185725)
松本 啓子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (70249556)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 外来化学療法 / 在宅療養者 / 高齢者世帯 / アセスメント |
研究実績の概要 |
外来がん化学療法を受けるがん患者・家族は、副作用だけでなく医療者不在の生活の不安の中で自分らしさが失われていく現実と向き合いながら治療継続を行っている。そこで、平成28年度は、がん高齢者世帯に特化して感情コーピング・問題解決コーピングとサポート体制の要素を抽出するため、国内外の文献を精読した。それぞれの世帯でのコーピングには家族関係が影響しており、共闘するパターンと分離するパターンに二分する傾向が明らかになった。しかし、共闘パターンには介護負担が、分離パターンには患者のQOLに影響があることが示唆された。がんという慢性疾患とその治療となる外来化学療法が、患者とその家族の生活のどの領域を侵害しているかを明らかにするために尺度を用いて調査するための準備を行っている。 また、在宅療養高齢者世帯の生活上の困難と生活の見極めについて訪問看護師に半構造化面接を実施し看護師の知見を明らかにした。看護師は、在宅療養を継続するために必要な支援と介護力の状況を見極めながら、できるだけ在宅療養が継続できるように関わりを続けていた。 さらに、医療処置を必要とする高齢療養者の配偶者と主介護者に対し面接調査を実施し、配偶者が感じる困難感を明らかにした。配偶者は、医療処置に対し自信を持ち、医療者への信頼と処置を代行する副介護者の存在が療養継続のカギになっていた。自身の加齢に伴う変化により健康管理と対応の折り合いが取れなくなった時、在宅療養が限界になることが示唆された。主介護者においては、家族への愛情を基盤に覚悟を持って接し寿命に関わるリスクを排除することで急変リスクを低下させていた。コミュニティにおいてのサポートも在宅療養継続にかかせない資源となっていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
国内外の論文を取り寄せ精読しているが、予定の半分ほどしかまとめれていない。訪問看護師、在宅療養者の家族(遺族)のインタビューは終了したが、分析に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
質的分析を続け、がん高齢療養者世帯のコーピングについて全体像を構築する。また、それを支援する看護師の知見について全体像を構築する。さらに、療養生活にがんと治療がどの程度影響しているかの調査を今後行っていく。尺度については、開発者の許可を得ているので、今後はさらなる対象施設の拡大を行う必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
量的調査のためのアンケート作成と郵送にかかる費用が必要となることと、平成29年度はイギリスでの調査と海外での学会発表を予定しているため、出費が高額になることが予測されたので、計画的に繰り越したため。
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次年度使用額の使用計画 |
7月開催のアジア太平洋緩和医療学会(シンガポール)での演題発表のための渡航費用と参加費して使用、また、8月末から9月にかけてい英国ロンドンとバンガーにおいて調査を実施する。期間は12日間の予定である。その渡航費用、宿泊費用とともに専門用語の解説が必要であるため通訳を依頼する費用が必要である。 また、12月までに日本での調査として外来化学療法を受けている患者と家族にアンケート用紙を配布する。そのためのアンケート印刷、郵送料、依頼に関する費用が必要である。さらに、データ入力を外部委託するための費用が必要となる
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