研究実績の概要 |
研究テーマ『治療中のがん患者のセルフケア能力向上支援プログラムの開発と活用の促進』の基盤として取り組んだ研究より,がん患者のセルフケアは『情報の探索と活用により意思決定を行いながら,状況に応じた対処と保健行動の実行から構成される』と定義づけられた。また,治療期にあるがん患者のセルフケア能力には,1.体調の変化をとらえる能力,2.自主的に判断し保健行動を形成する能力,3.がんの存在にとらわれないよう思考を和らげ進む能力,4.人とのつながりを保ち社会生活を調整する能力,5.生き方を見つめ自己の発達を促す能力が含まれた。これらの能力を全体的に考慮し客観的に測定できるがん患者用のセルフケア能力尺度として「治療期にあるがん患者のセルフケア能力尺度:Self-care Agency scale for Cancer patients under treatment(SAC)」を開発し英論文にて発表した。尺度の因子は【生きる姿勢を整える能力】はCronbach'α=0.883,【人とのつながりをもち活力を得る能力】は0.831,【体調管理に取り組む能力】0.795であった。さらに,GFI= 0.911, Adjusted GFI = 0.878, Cronbach'sα=0.900. を示し信頼性と妥当性を備えた尺度として証明された。 治療中のがん患者のセルフケア能力支援プログラム案は,がん患者のセルフケア能力の状態をSACにより情報として得た上で,心理的支援やソーシャルサポートも考慮し,支援内容を組み合わせ看護を行うプランを立案している。そして,介入研究で支援プログラム案の効果を評価していく予定である。
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