研究課題/領域番号 |
16K12079
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
森本 悦子 高知県立大学, 看護学部, 准教授 (60305670)
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研究分担者 |
石橋 みゆき 千葉大学, 医学部附属病院, その他 (40375853)
小山 裕子 関東学院大学, 看護学部, 助手 (50737509) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 後期高齢がん患者 / 療養支援 / 外来がん看護 / 専門職連携 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、地域密着型の一般病院に通院する高齢がん患者、とくに75歳以上の後期高齢者に焦点をあて、患者らしい日常生活を維持しながら治療を継続するための、医療・介護の協同に基づく複合的な外来看護支援モデルを構築することである。 首都圏の一般病院2施設で、後期高齢がん患者への看護や療養支援に携わっているA施設6名(看護師4、薬剤師・OT各1)、B施設5名(看護師2、薬剤師・SW・管理栄養士各1)であった。看護師(地域連携部門、診療治療部門)、薬剤師、作業療法士、管理栄養士らで120分程度のフォーカスグループインタビューを1回ずつ実施し、分析は質的統合法(KJ法)を用いた。 結果①専門職種が捉える後期高齢がん患者の抱える課題を明らかにした。高齢者がん患者は「加齢に伴う機能低下と多疾患が併存する身体による自己管理の複雑さ」を抱えつつ「厳格な服薬管理を必要とする抗がん剤治療と副作用への対応が求められる」状況にあり「家族による支援が期待できない」「住環境と病を抱えることによる気力低下に起因する活動低下の危険性」がある中でも「顔なじみの看護師に支えられた治療継続に向けた意思決定」をしていた。 結果②外来療養支援に携わる医療専門職連携における課題は、【各職種が患者の情報を把握しきれない】【職種や部門間で患者へのケアのあり方に違いがある】【在宅医療にかかわる施設と連携がとりづらい】の3つのカテゴリーにまとめられた。 以上のから、後期高齢がん患者の困難状況には病院の療養支援体制が影響していることが示唆された。高齢者の生活に根差した時機を得た支援を行うためには、各専門職者が共通の理念を持ち関わる必要がある。そのために高齢者の生活状態について情報を共有し合うための施設内にとどまらない環境作りや、高齢者の在宅療養に必要な全ての専門職が含まれる連携体制を構築することが重要であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力施設の新規開拓の手続きに時間を要し、データ収集および分析といった一連の活動が遅れたため。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は本課題の最終年度に当たる。そのため現在データ収集等を行っている2施設に現在までの研究実施により明らかになった、専門職種が捉える後期高齢がん患者の抱える課題と外来療養支援に携わる医療専門職連携における課題を開示し、結果に対するフィードバックを得る。 また現在データ収集を行っている一般病院の外来に通院する後期高齢がん患者及びその家族の療養生活上の困難や取り組みの現状を明らかにする調査を継続し、分析を図る。 以上を進めながら関連する文献の収集・検討を進めると同時に、研究者と研究協力者らによる会議を開催する。さらに必要時、専門家からの意見の収集も行い、最終的な課題の目標である支援モデルの構築を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査実施施設の開拓と研究実施に至る倫理的な手続きに時間を費やしたため、差額が生じた。今年度は研究期間の最終年にあたるため、調査の分析等を速やかに進めるための人件費に支出する。さらに調査の総括を行う研究者並びに研究協力者との会議の実施回数を増やすため、旅費に支出する。
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