研究課題/領域番号 |
16K12082
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
堀井 直子 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (90410662)
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研究分担者 |
前川 厚子 名古屋大学, 医学系研究科(保健), 教授 (20314023)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 肺がん患者 / 生活調整 / 在宅ケア / 介入プログラム |
研究実績の概要 |
本研究は研究者らが開発した「肺がん患者生活調整支援モデル」について,在宅療養者への適応に向けて検討を進め介入プログラムを開発することである. 平成28年度は,本モデル構築時に,取り上げていない要因について変数を充実させることを目的として取り組んだ.モデル構築時の対象者はほとんどが老年期の方が多かった.そこで壮年期の通院患者(在宅療養者)を対象に面接調査を実施した.対象者は平均年齢60.6(SD4.5)歳で,男性6名/女性3名,ステージ3が3名/4が6名,PSは0~2であった.伝統的グランデッドセオリー法に基づき分析した結果,『主観的普通の生活を創り出していく』というコアカテゴリーが,3つのカテゴリー【普通と思える生活に調整していく】【病気に向かう構えを創り出していく】【見通しをもった生き方を選択していく】に関連づく中心テーマとして抽出できた.これらの結果から,状態悪化や生活の狭小化が進む中で,どの時期においても当事者たちは『主観的普通の生活』を創り出す調整をしていると考えられた.以上の結果を,「肺がん患者生活調整支援モデル」の変数と比較検討した結果,〈今の生活が普通と思えてくる〉という生活感覚が新たに見出され,研究者らはこれを「上手なあきらめ」という自己受容(上田;1993)と解釈し,変数として加えることにした.本研究の対象者はPS0~2と限られた全身状態であり,PS3~4との類似・相違の検討も課題と考えている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
肺がん療養者からのデータ収集に際し,施設側との調整や,対象者の選択に予想以上の時間を要した. 今回は壮年期の肺がん療養者を対象にすることを目的として,いくつかの訪問看護ステーションに依頼をしたが,該当者が見つからなかった.結局,病院の呼吸器外来に通院している壮年期の肺がん患者(在宅療養者)を対象にしてデータ収集(面接)を行った.
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度の計画は,「肺がん患者生活調整支援モデル」の在宅への適応に向けて,モデル構築時に検討できていない要因を確認し,変数を充実させることであった.しかし,対象者のリクルートに時間を要したこと,リクルートした壮年期の対象者の全身状態に偏りがあることが課題として残った.平成29年度は,引き続き対象者をリクルートしながら変数の充実をはかること,得られた結果を,がん看護専門看護師、緩和ケア認定看護師,訪問看護認定看護師の専門的助言を得ながら,より在宅に特化した生活調整支援モデルを検討することにする.当初の平成29年度の計画である「肺がん療養者への生活調整に向けた在宅ケア介入プログラム」の作成は平成30年度へ変更する.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究が遅れていたため,消耗品の支出が予定より少なかった.
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に、遅れている面接の逐語録代金として活用していく.
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