一般病棟におけるがん患者の家族ケアシステムの確立と普及方法の開発を目的とし、がん患者の入院する一般病棟の看護師を対象とした学習プログラムを作成した。当初作成した学習プログラムはリンクナースシステムを参考に考案し、研究者による30分間の研修を受けた看護師が、自身が所属する病棟の全看護師に対して病棟会などを活用して研修内容の伝達を行うことで研修内容の共有を図る構成とした。しかし、一般病棟の看護師を対象に学習プログラムを試行したところ、看護師の選定や伝達方法、学習と実践の連動、学習プログラムの評価など、いくつかの課題が抽出された。そのため、一般病棟の看護師を対象としたがん患者の家族ケアに関する学習支援方法を見直し、伝達研修ではなく研究者と対象者の相互作用を利用した学習支援方法を試みた。 一般病棟の看護師らによる学習支援として、ミューチュアルアクションリサーチによる手法を用いて月1回程度の頻度で学習会を行った。学習会開始当初、看護師らの語りでは、がん患者の家族ケアの悩みや課題に関する内容が多かったが、学習会が進むにつれ、がん患者の家族ケアに対する看護師らの意識の変容過程を捉えることができた。 以上より、本研究では研究者と看護師によるミューチュアルアクションリサーチを用いた学習プログラムを試み、がん患者の家族ケアに対する看護師の意識の変容過程について検証を行った。これらの研究過程を通し、一般病棟におけるがん患者の家族ケアシステムの確立と普及方法についての示唆を得ることができた。
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