研究課題/領域番号 |
16K12092
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
山本 弘江 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (80251073)
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研究分担者 |
池田 真理 東京女子医科大学, 看護学部, 教授 (70610210)
金子 一史 名古屋大学, 心の発達支援研究実践センター, 准教授 (80345876)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 産後うつ / EPDS / 夫婦 / モニタリング / 地域連携 |
研究実績の概要 |
産後うつは深刻な社会問題となっている。これまで、周産期メンタルヘルスに関する研究は、母親を中心に行われてきたが、母親だけでなく父親の産後うつが重要な健康課題であるとの見解が示され,海外の研究では,母親の産後うつがパートナーである父親に影響を与えることが明らかとなっている。そこで本研究は、夫婦の産後うつの実態とその関連を明らかにすることを目的に、産後1か月時から6か月時までの縦断調査を行う。 また、産後のメンタルヘルスにおいて,早期発見・早期介入が有効であることから,エジンバラ産後うつ病自己評価票(以下,EPDS)が広く用いられているが、EPDSは,母親自身が回答しなければならないため、抑うつ症状が強く、回答そのものに負担を感じる場合、正しい回答を得られない可能性がある。これに対し、EPDSの10項目をパートナーが採点するように改変したEPDS-P日本語版を作成し、母親の産後うつをパートナーが評価することの有効性を明らかにする。この結果から、夫婦の産後うつへの早期介入や、アウトリーチ型の支援につなげることが期待できる。また、父親が母親の産後うつをモニタリングすることで家族機能の強化が期待できる。 H28年度、EPDS-Pの開発者であるM.W.O’Haraに日本語版の開発の許諾を得た。その後、周産期メンタルヘルスの専門家である共同研究者・研究代表者計3名と日本語版の検討を行い、尺度開発の手続きに則って日本語版を作成、開発者へのバックトランスレーションの確認が終了した。日本語版EPDS-Pを含めた調査の研究計画書を作成し、研究施設での倫理審査が終了し、研究計画に基づいてH29年4月より調査を開始している。現在は産後1か月時の夫婦への調査票を配布している(目標配布数600部)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EPDS-Pの開発者であるM.W.O’Haraに日本語版の開発の許諾を得て、共同研究者・研究代表者計3名と日本語版の検討を行い、日本語版を作成が順調に終了している。 研究計画書を作成し、倫理審査が終了し、H29年3月に倫理承認が得られた。研究協力施設への依頼も終了し、現在産後1か月時の夫婦への調査を開始している。先行研究からも夫婦の研究では、父親の回収率が低いことが指摘されている。現在回収率を30%としてサンプルサイズの算出をしているが、倫理審査で承認が得られた方法で、リマインド葉書を送るなど回収率を上げる方策を検討している。また、EPDS-Pについては、1時点での夫婦の一致率や、他のうつ尺度との関連を分析し、有効性の検討を行う予定である。 研究代表者および共同研究者の研究環境は安定的であり、定期的な会議を行い、連携がとれている。分析についても検討を始めている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度内に調査票の配布を終了する予定である。また、量的調査では得られない夫婦の産後のメンタルヘルスに関して、初産の夫婦10組を対象に産後1か月時、6か月時の2時点での面接調査を実施予定である。これにより、母親、父親のメンタルヘルスの変化の詳細を明らかにする予定である。これらの分析結果をもとに、研究代表者が主宰している研究会を基盤として多職種で家族を支える地域連携モデルの開発を行うことを今後検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の所属が8月に異動となり、経費の支出を半期控えていた。日本語版開発と研究計画を中心に行い、倫理審査追加後に、調査票の印刷等、調査の準備を行ったことから、翌年度に繰り越しを行っている。
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次年度使用額の使用計画 |
H29年度、3時点での調査票の配布を郵送法にて行う。また、調査票の回収率を上げるため、謝品の同封を計画している。また、面接調査を10組の夫婦に計画しており、それぞれに1時間程度の面接を要することから謝礼を予定している。EPDS-Pについては、有効性の検討を行い、海外でのジャーナルへの投稿を計画しており、英文校正等の使用を予定している
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