研究課題/領域番号 |
16K12096
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
永橋 美幸 (荒木美幸) 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 准教授 (10304974)
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研究分担者 |
大石 和代 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 教授 (00194069)
高村 恒人 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 脳病態統合イメージングセンター, 流動研究員 (90773888)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 妊婦 / タッチング / 胎児愛着 / オキシトシン / 褥婦 / 授乳 |
研究実績の概要 |
夫による妊婦の腹部へのタッチングと妊婦の胎児愛着およびオキシトシンとの関連について調査した。同意が得られた23名のうち5名を除外し,有効回答18名を分析対象とした.夫のタッチング回数および話しかけ回数と妊婦のPAI①,PAI②との関連については,有意な正の相関がみられた.また,夫と妊婦のタッチング回数・頻度および話しかけ回数・頻度はそれぞれ有意な相関がみられた.夫と妊婦のタッチング回数・頻度および話しかけ回数・頻度と,妊婦の唾液OT濃度の関連については,いずれも有意な関連はみられなかった.さらに,胎児の存在意識について「意識するようになった」と回答した妊婦のPAI②の得点は「変わらないもしくは意識しなくなった」と答えた妊婦のPAI②の得点より有意に高かった(p=0.013). 産褥早期の唾液オキシトシンの変化量と産後1ヵ月の抑うつ・対児愛着との関連について調査した。初産婦は12名(48%),経産婦は13名(52%)であった。全対象において授乳前の唾液OT濃度と産後早期のエジンバラ産後うつ病自己評価票(Edinburgh Postnatal Depression Scale,以下EPDS)得点に負の相関が認められた(r=-0.448,p=0.013).初産婦では授乳中の唾液OT濃度と産後1か月の接近得点は正の相関が認められ(r=0.610,p=0.035),全対象及び経産婦では,授乳前から授乳中のOTの変化と産後1か月の接近得点に正の相関が認められた(全対象r=0.461,p=0.023,経産婦r=0.701,p=0.011).授乳前から授乳中のOTの変化の増加群では,産後早期に比べて産後1か月の接近得点が有意に上昇した(p=0.011).
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「夫による妊婦の腹部へのタッチングと妊婦の胎児愛着」と「オキシトシンとの関連と産褥早期の唾液オキシトシンの変化量と産後1ヵ月の抑うつ・対児愛着との関連」について予定通り調査実施できたため
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今後の研究の推進方策 |
母乳育児と唾液オキシトシンとの関連について調査実施予定。母乳育児によるオキシトシン分泌の重要性については、「産褥早期の唾液オキシトシンの変化量と産後1ヵ月の抑うつ・対児愛着との関連」、またはこれまでの研究で明らかになっている。 産褥早期の母親の授乳前後の唾液オキシトシン(oxytocin、以下OTと略す)については、授乳前30分、授乳中、授乳後30分では児が吸啜を開始してから遅くとも5分後には上昇がみられ、授乳が終了してから30分経過しても、授乳時間に関係なく、最低でも授乳終了後30分後までは、持続することが報告されている。しかしながら産後早期に経日的にオキシトシンの分泌状況を検討した研究はほとんどない。授乳前後の唾液OTを産後2日と産後4日で比較し、産後早期の2時点の唾液OTの変化を明らかにすること、さらに産後2日と産後4日の唾液OTの変化に何が関連しているのか明らかにすることを目的に実施予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由としては、分担者の前年度残額(143,218円)について考慮できておらず29年度も配分額を20万円で計上していたため。 産後早期の2時点の唾液OTの変化と産後2日と産後4日の唾液OTの変化に何が関連しているのか明らかにすることを目的に研究実施する。被検者への謝金、オキシトシンホルモン分析用キット、投稿中論文の英文校正等に使用する。
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