研究課題/領域番号 |
16K12098
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
桑名 佳代子 宮城大学, 看護学群(部), 教授 (70154531)
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研究分担者 |
志田 淳子 宮城大学, 看護学群(部), 講師 (30530654)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 思春期女性 / 青年期女性 / 月経異常 / 婦人科受診 / 受診行動 / ヘルスビリーフモデル |
研究実績の概要 |
思春期・青年期女性における婦人科への受診頻度は、「月経異常」を主訴とする場合が最も高いと報告されている。そこで、婦人科受診に至るまでの自己判断と行動のプロセスを明らかにする目的として、女性クリニックを受診し「月経異常」と診断を受けた15歳~24歳の女性を対象とし、「思春期・青年期女性の月経異常による受診行動プロセス」の半構造化面接調査を実施した。面接ガイドは、改訂ヘルスビリーフモデル(畑、2009)を適用して作成した。2016年4月~2017年3月までに得られた対象者25名についての研究結果は、第36回日本思春期学会学術集会において発表した。その後、2名の対象者を追加し、得られた27名(10代10名、20代17名)の分析を行い、日本思春期学会への論文投稿に向けて準備中である。受診を躊躇する要因は、産婦人科・婦人科は妊娠で受診するイメージがあり、若い世代が軽い症状で受診することへのためらい、内診への抵抗であった。受診への後押しとしては、母親の勧めが最も多かった。これらから、自らの月経異常の判断と受診行動への健康教育、婦人科受診に対する意識変容、母親への啓発の重要性が示された。 この研究から得られた受診プロセスの結果を活かして、思春期・青年期の女性が自身の性に関わる健康を自己管理しながら判断し、必要に応じて養護教諭等の専門職に相談し、適切な受診行動をとることができる健康教育のために、「思春期におけるSEXUALITYの健康」冊子を作成・印刷した。これを媒体にして、高等学校1校(280名)、高等専門学校2校(292名)において、2018年7月~10月に健康教育を実施し、また社会的養護にある親役割を担う児童養護施設の職員・里親(7名)を対象とした健康教育を2018年8月に実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1段階の「思春期・青年期女性の月経異常による受診行動プロセス」の結果を分析し、日本思春期学会誌への論文投稿を準備している。 第2段階として予定していた「帯下・外陰部そう痒感」による受診行動プロセスは、研究協力施設との検討により、対象者を得ることが困難であると判断した。そこで、2018年度は、第1段階の研究結果を活かし、思春期にある者と思春期の子どもをもつ親を対象とした健康教育を作成した冊子「思春期におけるSEXUALITYの健康」を用いて実施した。しかし、適切な受診行動につながるかを検証することはできないため、青年期女性に対象を絞って婦人科受診に至る判断と行動のプロセスを検討したい。
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今後の研究の推進方策 |
第1段階の研究により、思春期・青年期の女性は、自身の性に関する健康状態(とくに月経の正常・異常の判断)の自己管理ができていない実態が明らかとなり、婦人科受診を躊躇する要因、また受診行動を後押しする要因が示された。そこで、自立・自律に向かう青年期女性に焦点を当てて、大学保健室の看護職と連携し、保健室を訪れた女子大学生への個別的な健康教育を実施し、婦人科の受診・検診への行動につながるプロセスの支援方法を検証したい。そのために、健康教育のベースとなる「青年期女性におけるSEXUALITYの健康」冊子を婦人科医師の監修のもと作成する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 第2段階として予定していた「帯下・外陰部そう痒感」を主訴とした受診行動プロセスは、対象者を得ることが困難であり研究実施を断念した。そこで、調査旅費や謝金の支出が抑えられ、健康教育の媒体として作成した「思春期におけるSEXUALITYの健康」冊子の印刷費として多くを使用した、 (使用計画) 研究計画を変更し、1年の延長申請を行った。女子大学生を対象として、女性医療への受診行動プロセスを踏まえた健康教育を実施し、その効果を検証する研究を進めたい。健康教育のベースとなる「青年期女性におけるSEXUALITYの健康」冊子を作成予定であり、参考とする書籍等の購入、印刷費に使用するほか、研究協力者への謝金、データ整理の人件費等に使用したい。
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