月経異常により婦人科受診を要する思春期・青年期の女性が、自己の月経異常を認識してから受診に至るまでのプロセスを明らかにする目的で調査を実施した。女性クリニック1施設において、15~24歳の27名を対象として、質問紙調査(個人的要因)と半構造化面接調査を行った。面接ガイドは、改訂ヘルスビリーフモデル(畑、2009)を適用し、受診行動に至るまでのプロセスを「月経異常の可能性」「月経異常の深刻さ」「受診行動の有用性」「受診行動の負担」「受診行動の採択」「受診行動へのきっかけ」「受診行動への障害」として作成した。倫理的配慮は、所属大学の研究倫理専門委員会の承認を得て実施した。未成年者へは、本人のほか保護者の同意書を得て行った。 平均年齢は20.5(SD2.4)歳、診断名(複数)は、月経困難症が14名(51.9%)、PMSが7名(25.9%)、「子宮内膜症」「機能性子宮出血」が各6名(22.2%)であった。「持続する症状」と「症状の悪化」で「月経異常の可能性」を考え、「月経異常の深刻さ」は不安・恐怖が22名(81.5%)、耐えられない症状8名であった。「確実な診断を受ける」ことの有用性を認識しても、「婦人科に対する知識・理解がない」「妊娠・妊婦のイメージ」「周りの目が気になる」「内診への抵抗」等を負担と感じ、受診までに17名(63.0%)が1年以上を要していた。「受診行動のきっかけ」は母親の勧めが74.1%で、友人が40.7%、養護教諭が33.3%あった。これらから、月経教育、婦人科受診への意識変容、思春期の女子をもつ母親への啓発の重要性が示された。 以上より、月経教育については、思春期の男女を対象に保健教育の冊子を作成し、婦人科受診への意識変容に向けては、本年度に「女子ドック」と称するリーフレット・冊子・ポスターを作成して活用している。今後は、思春期女子の母親への啓発が課題である。
|