研究課題/領域番号 |
16K12110
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研究機関 | つくば国際大学 |
研究代表者 |
大槻 優子 つくば国際大学, 医療保健学部, 教授(移行) (10258973)
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研究分担者 |
島貫 秀樹 つくば国際大学, 医療保健学部, 講師(移行) (40326749)
中田 久恵 つくば国際大学, 医療保健学部, 講師(移行) (60637726)
仲根 よし子 つくば国際大学, 医療保健学部, 講師(移行) (60709682)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 在宅介護 / 農家女性 / 遠隔支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、高齢化率の高い農村過疎地域で在宅介護を担う農家女性に対する遠隔支援の構築を目的とする。平成28年度は、茨城県で最も高齢化率の高いD町を対象に、現在在宅介護を担っている方、在宅介護の経験者を対象に聞き取り調査を実施した。 調査期間は平成28年4月~9月、調査対象は65歳以上の要介護認定者(介護度1-介護度5)の介護を在宅で1年以上担っている家族介護者6名である。調査方法は、家族介護者の自宅で半構造的面接により実施した。聞き取りに要した時間は1時間から2時間である。聞き取り内容は、「介護サービス利用」「処置ケアで困難なこと」「生活スタイルへの影響」「介護者自身の健康状態」「介護を担っていることの認識」「行政に対する期待や希望]である。半構造的面接内容は、ICレコーダーで録音し、得られたデータから逐語録を作成した。逐語録に起こしたデータを内容の質的分析の手法を用いて、「介護サービスに関すること」「介護に関すること」「介護者自身に関すること」「専門職への期待」「行政に望むこと」の内容を抽出要約し、コード化を行った。 その結果、調査対象者の性別は女性5名、男性1名で職業は自営業2名、無職4名であった。在宅介護に対する認知では、「長男の嫁の役割」「自己の成長段階における高齢者とのかかわりの必要性」「精神的な不安定感の持続」「介護というより一緒に住むという感覚」「自己の介護に対する不全感」であった。介護を継続する要因として「ケアマネジャーの親身な対応」「介護サービス提供者の丁寧な対応」「近隣の家族介護経験者からの情報提供」「介護サービスの有効活用」「夫・子ども・姉妹との協力体制」「介護者自身の時間確保」「介護に対する知識・技術の必要性」「要介護者と主介護者の信頼関係」が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は、高齢化率の高い農村過疎地域で在宅介護を担う農家女性に対する遠隔支援の構築を目的としており、高齢化率の高い農村過疎地域の農家女性を対象に計画した。対象の抽出においては、D町の訪問看護ステーションに研究への協力を依頼し今年度は6名の協力が得られた。しかし、農村地域を対象としたものの、農家女性で在宅介護を担う方が少なく、目的とした対象者の確保に困難を極めているという状況である。 当初の計画では平成28年度の調査結果より、平成29年度に実施予定である、ICT(タブレット)を活用した遠隔支援の具体的方法の検討まで計画していた。しかし、研究目的に対応した対象者の確保が困難であったことから、遠隔支援方法の計画までに至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度も、平成28年度の調査に引き続き、調査対象とした農家女性の確保に努め調査を継続実施する。現在、平成29年6月に農家女性からの聞き取りを計画している段階である。調査結果より、平成29年度に実施予定である、ICT(タブレット)を活用した遠隔支援の具体的方法の検討を行い、その計画に沿って、遠隔地から、在宅介護者への支援を試みる計画である。 一方、調査地が農村地域であるにもかかわらず、本研究で対象とする農家女性の在宅介護者が少ない現状についても分析する必要があると考える。また、平成28年度に協力が得られた対象者の中に、男性の家族介護者も含まれた。農村過疎地域では、高齢化率の上昇とともに、単身のまま親の介護を担う男性の存在も把握された。今後は、男性介護者への支援も合わせて検討する必要性が明らかになった。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度に調査対象とした、農家女性の抽出が困難であり予定した人数の確保が出来なかった。その結果、交通費、謝金の使用が予定額に達しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度に、前年度調査予定人数を確保し交通費と謝金に使用する。さらに、成果発表に関して国内国外も含めて報告の機会を追加する。
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