研究実績の概要 |
本研究の目的は、妊娠前の体格(非妊娠時BMI)及び妊娠中の体重増加量と出生体重との関連を明らかにし、出生体重に影響を与える要因の検討を行い、妊婦への看護介入を行う際の基礎資料を得ることである。当初の計画通り、2019年度内にデータ収集を終了し、最終年度はデータの精査及び分析を行った。対象者数は349例と予定(400例)より少なかった。これは、施設の特徴として里帰り出産、早産や母体搬送に伴う転院の事例があったことが影響したためと考える。データの入力、精査を進めた結果、データが得られ分析対象としたのは310例であった。310例のうち、妊娠後期の食習慣の調査に回答し、かつ出生時体重などの分娩時情報が得られた260例を中心に分析した結果を第34回日本助産学会(令和2年3月, インターネット学術集会)で発表した。 対象の年齢は、平均32.2歳で厚生労働省による人口動態統計と比較して大きな差はみられなかった。妊娠前のBMI値による体格分類で、やせ(BMI<18.5)15.4%、標準(18.5≧BMI>25)77.3%、肥満(BMI≧25)7.3%だった。厚生労働省による調査結果および先行研究ではやせの割合が20~25%であることから、やせの割合が比較的少ない集団であったといえる。出生体重の平均値は3017gだった。在胎期間に比べて体重の軽い児の割合は5.4%で、非妊娠時の体格やせと標準で比較すると、明らかな差は認められなかったが、やせで多い傾向は認められた。次に妊娠後期の食習慣調査の結果において、エネルギー摂取量は1482kcalで非妊娠時の推奨値より低い結果だった。妊娠初期の結果と比較すると、妊娠初期よりすべての項目で摂取量が低くなっており、妊娠後期では、妊娠初期より摂取量が増えることが推奨されていることからも注目する点である。データをさらに精査したうえで分析を進める必要がある。
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