研究課題/領域番号 |
16K12113
|
研究機関 | 東京家政大学 |
研究代表者 |
鈴木 幹子 東京家政大学, 健康科学部, 教授 (90269457)
|
研究分担者 |
玄番 千恵巳 東京家政大学, 健康科学部, 講師 (60739423)
立石 和子 仙台赤門短期大学, 看護学科, 教授 (80325472)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 産後クライシス / 父親のコンピテンシー / パートナーシップ / 育児経験のメリット / 地域連携 / 産後ケア事業 |
研究実績の概要 |
大学周辺の地域住民に産後ケアを提供するため、周辺の市の出産や育児の状況を調査し、市の助言を得て、大学内に産後ケアサロンを開設するに至った。産後ケアサロンでは、産後の母子にディサービスを提供し、育児に関するイベントも開催している。 利用者約50名には、夫との関係や産後の生活、育児事情、必要な支援に関するアンケートを実施している。夫との関係では、夫から家事や育児の協力が得られずに困っていることや、子育ての考え方に相違があることなどがあげられていた。その他には、子どものことが気になって休息がとれないこと、育児について身近に相談する人がいないこと、上のこどもに手がかかるので、上の子どもと利用したいなどがあげられていた。また、産後ケア事業の1つである宿泊サービス型については、利用のハードルが高いこと、またもう1つのアウトリーチ型もどのような人が来るのか心配であることや、自宅の様子を見られることに抵抗があるなどの意見があった。気軽に自分の都合のよい時間に利用できるディサービス型は、産後ケア事業の選択肢の1つとしてニーズにそったサービスであることがわかった。また、ディサービスでは、送迎等があれば利用に便利であるとの意見もあった。子育て中の母親の荷物は多く、電車移動が困難な状況があることや、上の子どもと一緒に利用したいという経産婦ならではのニーズがあることがわかった。多様なニーズに合わせた利用ができるようにしていく必要がある。 父親向けの育児に関するイベントの開催も企画したが、参加希望者が少なく、実施に至っていない。しかし、利用者の希望で、プライベートな育児学級を実施した。妊娠中の妻と夫と妻の実母が参加し、育児の方法や心構えなどを演習を交えて行ったところ、大変好評であった。個人志向の利用者もいるため、個々のニーズに応じた個別指導の在り方について今後も検討していきたい。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
産後ケア事業を開始したが、開設当初は利用者が少なく、周辺住民への産後ケア事業の周知に時間がかかった。市報に掲載し、公園などの公共施設にポスターを貼るなどして、周知に努力した。その結果、母子の参加を対象としたベビーマッサージやベビーフォト、ランチ会のイベントは、参加応募が増えつつあり、好評であった。しかし、産後クライシスを乗り越えるための父親向けの育児に関するイベントを企画したが、参加者が集まらず、実施には至らなかった。 また、新型コロナウィルス感染拡大に伴い、産後ケアサロンを閉鎖せざるを得なくなり、イベント開催も延期となった。
|
今後の研究の推進方策 |
新型コロナウィルス感染拡大が収束すれば、大学内に開設した産後ケアサロンで産後クライシスを乗り越えるための事業展開を実施する予定である。産後の母親が気軽に育児相談できる場の提供や、リラックスできる場を提供するとともに、父親のコンピテンシーを高めるイベントを開催し、産後クライシス予防への効果を検証していく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
産後ケアサロンを開設でき、研究のフィールドとして活用する予定であったが、周辺住民への周知が不十分で利用者が少なく、データを十分に集められていない。 また、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、産後ケアサロンを閉鎖せざるを得ない状況となり、産後クライシスを乗り越えるための父親向けの育児に関するイベント開催ができなくなったためである。
|