研究課題/領域番号 |
16K12115
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研究機関 | 日本赤十字看護大学 |
研究代表者 |
齋藤 英子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 准教授 (90375618)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 新生児 / 親子関係 / NBO / 介入研究 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、新生児期や生後3ヶ月迄の子どもとその親の親子関係構築を支援する早期介入(NBO:Newborn Behavioral Observation system)の効果検証【研究1】とNBOを実践した親子支援の専門家が抱いた早期介入の有用性と障壁の検討【研究2】へ関連するNBOを実践できる専門家の養成と日本におけるNBO実践者養成システムの構築を行った。 日本における講習会開催に向けて、平成28年6月にプラハで行われた世界乳幼児精神保健学会へ参加し、各国のNBO実践・講習会開催・NBOを用いた早期介入研究に関して情報を交換した。6月以降は、月1回のWeb会議へ参加して情報交換を継続している。 9月末にNBOの開発者とトレーナーの2名を国外より招聘して東京30名と名古屋33名で各2日間計4日間、日本初のNBO講習会を開催した。参加者63名の内訳は、臨床心理士24名、助産師15名、看護師8名、心理学・看護学・助産学教員4名、医師3名、理学療法士3名、NICU保育師2名、保健師1名、言語療法士1名、心理学大学院生2名であり、多領域にわたる専門家が参集した。講習会開催後1ヶ月と3ヶ月にはNBOの実践に関するリフレクションを行った。リフレクションはフォローアップ講習会と称し、NBO実践(介入)の安全性、妥当性、信頼性を確保するために行い、東京と名古屋でそれぞれ開催した。講習会やフォローアップの開催方法については、各国のNBOトレーナーから助言を得て、国内のトレーナーや連携研究者との間で討議しながら日本の実情に合う方法を試行した。 NBO介入者としての認定については、開発者やトレーナーと相談しながら次年度4月より開始すべく準備を行っており、NBO実践者の介入時の行動学的な観察や介入技術の信頼性・妥当性を確保すべく助言・検討を続けている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、介入者となるNBO実践者の育成に主眼をおいたため、国内でNBOを実践できる専門家の養成とそのシステム構築を行った。NBOの介入対象者は生後3ヶ月までの子どもと親であるが、NBO受講者である実践者の職種や介入場面は多岐に渡るため、産科病棟、NICU、家庭訪問先という各臨床場面での適応や実現可能性を振り返り、NBO介入時に必要となる新生児への観察や介入の能力や親への面接技術を習得する必要があった。このような実践者を対象とする講習会を他国の専門家から助言と協力を得ながら開催するために半年、フォローアップシステムを構築するために半年、計1年間の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き持続性のあるNBO実践者養成システムの構築を国内外の専門家の意見や【研究2】の結果を得ながら精錬させていく。 また、NBO認定者・実践者の協力を得て【研究1】【研究2】を進める。再度講習会を国内で2回開催する予定である。 【研究1】は、NBO認定者や受講者の協力を得て、研究協力施設と協力者の募集、参加者募集、介入の実施、データ収集を行う。 【研究2】については、Web経由のアンケート調査を実施するとともにグループインタビューを行う。 また、次年度の冬にNBOトレーナーが再来日する予定があり、その日程等に合わせてNBO受講者が参集でき普段の実践や研究成果を意見交換し合えるNBO実践報告・研究会を開催することを勘案している。NBO実践報告・研究会の開催により国内の実践者が海外で活躍するNBOトレーナーにも相談でき助言を得られるよう計画したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
【研究2】で実施する予定であったグループインタビュー時の会場費や謝金等を使用せず繰りこした。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度に実施予定。
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