子ども虐待への対応は妊娠期からの予防が重要であると提言されているが、生後24時間に満たない日齢0日児の虐待死はあとを絶たない。妊娠中の児への愛着は母親のメンタルヘルスと関連しているが、特に妊婦のストレスは妊娠の受け入れそのものや生まれてくる児への態度、さらには母子相互作用にも影響する。また、胎内環境および胎児のメンタルヘルスにも影響を与えることが考えられる。本研究は①妊娠中のストレスが胎児のストレス(胎内環境)に及ぼす影響を明らかにすること②メンタルディベロップメントにおける胎児プログラミング仮説の検証③ストレスが高い妊婦の児に対する愛着の推移と母子相互作用を明らかにすることが目的である。 本研究は、縦断的量的調査および生物学的調査に加えて質的研究の混合研究法である。妊娠中のストレスが胎児のストレス(胎内環境)に及ぼす影響を明らかにするために、妊婦に対する縦断的質問紙調査および妊婦と新生児に対するストレスホルモン測定を行い、妊婦のストレスと胎児プログラミング仮説の検証を行う。研究協力施設に定期妊婦健診で通院中の妊婦100名に対し、妊娠36週時・入院中・産後1か月における質問紙調査、ストレスホルモン・ペプチドホルモン測定を行う。また、出生直後の新生児にストレスホルモン測定を行う。現在、最終データの収集段階である。研究協力機関にはCOVID-19の感染拡大防止のために外部者の来院ができない状況であり、すべてのデータがそろっていないため、研究結果がまだ出せない状況である。
|