研究課題/領域番号 |
16K12131
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
塩飽 仁 東北大学, 医学系研究科, 教授 (50250808)
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研究分担者 |
佐藤 幸子 山形大学, 医学部, 教授 (30299789)
富澤 弥生 東北福祉大学, 健康科学部, 准教授 (60333910)
鈴木 祐子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (40431598)
井上 由紀子 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (20596100)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 発達障害 / 思春期青年期 / 成人移行期支援 |
研究実績の概要 |
1.背景とニーズの調査:思春期青年期に特異的な支援ニーズの内容と背景を探るために,発達障害をもつ中・高校生とその母親5組を対象に,子供のQOLと母親の感情表出,子供と母親がいらだちや幸せを感じることについて質問紙調査を行った。子供のQOLでは「感情の機能」「社会的機能」得点が特異的に低く,母親の感情表出では,患者に負の影響を与えると考えられている得点水準に達している母親が2名,感情表出を適切に制御できている母親が3名であった。子供のQOL得点と母親の感情表出に有意な関連はなかった。「子供の行動にいらだつこと」がある母親は全員であり,対処方法は「一人で我慢する」「専門家に相談する」との回答が多かった。「幸せに感じること」は,子供は「友達と話をしているとき」など,子供自身の行動に関する事柄が全てを占め,母親は「子供に対して期待や自信が持てたとき」など母親自身の行動に関する事柄,および「子供の成長を感じるとき」など子供の様子や行動に関する事柄が挙げられた。これらから,感情表出の場の提供,頑張りを認めるかかわり,医療者による支援の提供が必要であることが示唆された。 2.情報収集:AYA世代の小児がんの成人移行期支援プログラムにおいて,英国では結婚や性に関する課題に対して専門のカウンセラーが養成され,具体的個別的な支援が展開されているが,日本では取り組みがほぼなされていないことが把握できた。同様に成人精神科領域でも結婚や性に関する課題と支援について注目されてきており,思春期青年期の発達障害を持つ子供についても同様の課題が推察できた。 実際に看護外来でも性の悩みを打ち明ける事例がおり,移行期支援プログラムで扱うべき重要な課題である事が分かった。 また,これらの課題と支援策は国内の小児看護領域ではほとんど扱われておらず,むしろ精神看護や地域看護の領域の取り組みが参考になることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究分担者1名が4月に,もう1名が9月に大学を退職し,当初予定していた研究計画の通りのエフォートを充てることができなくなった。 そのため,年度内に思春期青年期の発達障害の子供とそのきょうだい,保護者への支援を行う際に医療・教育現場にいる専門職者が捉えている思春期青年期の特異的な課題,支援ニーズ,支援方法について質問紙調査を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は,平成28年度に退職した1名を研究分担者からはずし,平成29年4月着任の研究科助手と,平成28年4月に着任した病院助手の2名を研究分担者に加えて新たな研究組織を構成し,平成28年度の残された課題と平成29年度に計画していた計画を遂行することにしている。 新体制とすることで今後の研究は推進できると考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者1名が4月に,もう1名が9月に大学を退職したため,年度内に計画していた「思春期青年期の発達障害の子供とそのきょうだい,保護者への支援を行う際に医療・教育現場にいる専門職者が捉えている思春期青年期の特異的な課題,支援ニーズ,支援方法について質問紙調査」を行うことができなかったため。
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次年度使用額の使用計画 |
退職した1名にかわって,平成29年4月着任の研究科助手1名と,平成28年4月に着任した病院兼務の助手1名を研究分担者に加えて新たな研究組織を構成し,平成28年度の残された課題と平成29年度に計画していた計画を遂行することにしている。
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