研究課題/領域番号 |
16K12137
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
渡邉 竹美 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (90279919)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 助産モデル / アセスメント・ツール / 分娩進行 / 助産師 |
研究実績の概要 |
分娩進行を判断する助産師の経験知は、医学モデルである産道・娩出力・娩出物である分娩の3要素に産婦の主観的体験である産痛を加えた4要素で構成された助産モデルである。助産モデルで開発した分娩進行を診断するアセスメント・ツールの活用促進のため、研修会を開催した。 研修会の内容は、助産モデルの成り立ち、分娩進行中に観察される産婦の観察項目とその観察方法、観察項目と子宮口開大度と先進部下降度の関係、助産モデルとフリードマン頸管開大曲線の関係、回旋異常を早期に発見するポイントと対処方法である。 研修会の対象者は、①分娩を再開した病院に勤務する助産師、②産科クリニックに勤務する1~3年目の助産師である。研修会終了後にアンケートを実施した。①は研修会直後、②は研修会終了後6か月に実施した。アンケートはいずれも自由記載とした。 分娩を再開した施設に勤務する助産師の自由記載では、初産婦と経産婦の血性分泌物が観察されるタイミングの違い、経産婦の分娩経過ではヒヤッとする経験があるので観察項目の再認識、内診所見と外診所見を一致させる、他の人と共有できるわかりやすい記録、助産師個人の経験内容を共有するためのアセスメント・ツールの活用などであった。産科クリニックに勤務する助産師の自由記載では、観察項目から子宮口開大や先進部下降度を予測し内診所見と照らし合わせるという経験を積み重ねたところ産婦の全体をみて判断できるようになった、外診所見や産痛部位の変化や陣痛間隔の変化を合わせて観察することで不要な内診をしなくなった、初産婦では子宮口の開大に見合わない反応のから緊張や不安をアセスメントできるようになった、加速期にある経産婦では遅れずに準備できるようになった、予測に反する外診所見では診察をして促進ケアや陣痛促進につなげられるようになったなどであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
今年度は無痛分娩実施施設で観察項目を用いたデータ収集を計画したが、調整が難航し実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の感染拡大により、無痛分娩のデータ収集は困難となった。計画を変更し無痛分娩を行っていない施設での観察研究を計画した。
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次年度使用額が生じた理由 |
無痛分娩に関するデータ収集ができなかった。次年度は無痛分娩ではなく通常の分娩を取り扱う施設でデータ収集を行う予定である。
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