研究課題/領域番号 |
16K12137
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
渡邉 竹美 山梨大学, 大学院総合研究部, 医学研究員 (90279919)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 助産モデル / アセスメント・ツール / 分娩進行 / 助産師 |
研究実績の概要 |
分娩進行を判断する助産師の経験知は,医学モデルである娩出力・産道・娩出物である分娩の3要素に,産婦の主観的体験である産痛を加えた4要素で構成された助産モデルである.助産モデルで開発した分娩進行を診断するアセスメント・ツールの妥当性を検証する目的で,2019年2月より分娩を再開した一般病院をフィールドとしてデータ収集を行った.当該施設の研究倫理審査による承認後,研究協力者である助産師および看護師を対象に研修会を開催した.研究対象者は,妊娠中に重篤な異常を認めない,単胎・頭位・経腟分娩予定,児娩出時に正期産,日本語によるコミュニケーションが可能,研究参加について文書による同意が得られることを条件とした.目標症例数は,これまでの研究成果から初産婦,経産婦いずれも自然経過かつ自然娩出の分娩ケースを各25例とした.研究期間は,当該施設の分娩数が年間120例程度であることから,施設の倫理審査承認後から2021年9月30日とした.2021年3月31日までに当該施設での分娩は59例であった.そのうち対象外は予定帝王切開例2例,日本語によるコミュニケーションが不可能5名であり,対象は52名であった.対象者52名のうち,同意が得られなかったケースは1例であった.同意が得られた51名のうち,緊急帝王切開術に移行7例,母体搬送3例を除く41例のデータが得られた.41例の内訳は,初産婦24例,経産婦17例であった.初産婦24名の分娩経過と娩出方法の内訳は,自然経過で自然娩出8例,自然経過で急速遂娩術2例,促進経過で自然娩出6例,促進経過で急速遂娩術2例,誘発経過で自然娩出6例であった.経産婦17例の分娩経過と娩出方法の内訳は,自然経過で自然娩出9例,誘発経過で自然娩出7例,誘発経過で急速遂娩術1例であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究対象者のリクルートは順調に進んでいるが,自然経過で自然娩出ケースは初産婦事例では1/3,経産婦事例では1/2であった.初産婦事例では緊急帝王切開術に移行するケースや微弱陣痛により陣痛促進を要するケースが多く,経産婦事例では希望誘発ケースが多く1年間で目標事例数の25例ずつには到達しない可能性がある.
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今後の研究の推進方策 |
先行研究においても初産婦事例の自然経過で自然娩出は48%,経産婦事例では56%であったことから,データ収集期間を6か月延長することで目標とする事例数に達すると考えられる.
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次年度使用額が生じた理由 |
現在,データ収集中のため必要物品の購入,および報告書,論文作成に係る諸費用に使用予定である.
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