研究課題/領域番号 |
16K12151
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研究機関 | 札幌市立大学 |
研究代表者 |
松浦 和代 札幌市立大学, 看護学部, 教授 (10161928)
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研究分担者 |
上村 浩太 札幌市立大学, 看護学部, 准教授 (00381278)
三上 智子 札幌市立大学, 看護学部, 講師 (70452993)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | モンゴル国 / 先天性股関節脱臼 / ハイリスク群 / 育児指導 |
研究実績の概要 |
モンゴル国ウランバートル市において先天性股関節脱臼ハイリスク群の保護者に対する育児指導を課題とする介入研究を継続した。モンゴル国立母子健康センターを研究協力施設として、平成26年度は出生数11100人に対し、DDH予防ケアに基づく保護者への育児指導率は73.7%、そのうちDDHハイリスク群(n=1078)11.3%への育児指導率は100%であった。2015年度は出生数11020人に対し、DDH予防ケアに基づく保護者への育児指導率は91.7%、そのうちDDHハイリスク群(n=1677)16.6%への育児指導率は100%であった。 平成27年度は継続的介入として、8月に現地専門技術研修を、翌年3月に札幌市において招聘研修を実施した。平行して、同年8月に保護者向け自己学習教材「先天性股関節脱臼の予防ケア」のプロトタイプ1の制作に向けた現地ヒアリングを実施した。その結果、①携帯電話の普及率は124%であるが、プリペイドが多い。②ダウンロードは少ない。③Facebook/TwitterなどのSocial Networking Serviceの方が利用頻度は高い。④首都圏では4Gが普及しているが、地方都市の中心部は3G、郡部の村は2Gレベルで地域格差がある。⑤郡部の村への情報提供方法はTVやパンフレット等の活用も検討した方がよい、という意見を得た。以上の調査結果を踏まえてプロトタイプ1を制作した。平成28年3月に、新生児看護・母性看護の専門職者を対象として、プロトタイプ1に関するヒアリングを国内で2回、モンゴル国立母子健康センターで2回実施した。ヒアリングによって、プロトタイプ1は、問題点1)臨床病理学的な説明が長過ぎる、問題点2)ケア提供者の手の動きに分かり難い部分がある、問題点3)モンゴル語版テロップに翻訳上の誤りがある、問題点4)効果音のタイミングが悪い、ことを把握した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度研究計画をすべて遂行し、結果を平成28年度研究計画に反映させることができた。モンゴル国カウンターパートとの連携は良好である。本研究における教材開発は、複数民族・複数言語からなるモンゴル国の特徴や、ゲルという特殊な住環境において若い保護者がひとりで学習するという特殊性を想定している。できるだけ言語に頼らない映像表現、分かりやすいビジュアル表現等を探求することは、現代の国際支援に汎用性の高い工夫といえる。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、8月にモンゴル国の先天性股関節脱臼高リスク地域である西モンゴル地域において専門技術研修会、翌3月に札幌市立大学において招聘研修を開催する予定である。平成27年度の研究成果に基づきプロトタイプ1の問題点を修正し、平成28年度は現地のICT事情およびICTニーズに適合性の高い保護者向け自己学習教材としてプロトタイプ2を作成する。モンゴル国立母子健康センターとのe-Meetingを開催し、プロトタイプ2の最終評価を経て、完成版を編集する。完成版を以下の5段階で展開する。①DVD化、②モンゴル国立母子健康センターで①を使用、③同センターウェブサイトにおいて①を公開、④①をSNS用の静止画として加工⑤モンゴル国営放送の健康番組「健康は宝」での放映に向けた企画・制作。 年度末に、②~④に関する評価を実施する。また、⑤が実現に至った場合には、視聴率の把握を行う。研究成果を総合評価し、現地での使用に耐え得る教材の実用可能性を検証する。
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