研究課題/領域番号 |
16K12158
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研究機関 | 八戸学院大学 |
研究代表者 |
長南 幸恵 八戸学院大学, 健康医療学部, 助教 (00648032)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 自閉スペクトラム症 / 感覚 / 行動 / 生活 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は,自閉スペクトラム症の感覚特性から派生する行動と生活との関連を明らかにすることであり,研究期間は5年の予定である. 平成29年度は,2年目にあたり,大学倫理委員会にて倫理審査の承認を受けた.対象児は,親の会を通じて募った.その結果,重度の自閉症を含む5名の研究協力児が得られた.保護者への研究説明を行い,研究への同意および対象児の研究代諾を得た.また対象児の在籍する施設へも研究趣旨の説明を行い,研究協力を得ることができた. データ収集は,以下の3点から行った.①保護者および保育担当者から感覚特性に関するアンケート調査を行った.②研究者が保育場面を参加観察し,対象児の感覚特性と関連する行動のデータを質的に収集した.③研究者が参加観察すると同時に.施設の損壊や園児の活動を妨げない事を条件に小型ビデオカメラを設置し,対象児の行動を動画データとして収集した. データ分析は,①のアンケート調査から量的データ,②の参加観察からフィールドノートへの記述データに③の動画データを参照し,質的データの記述・分析を行っている. 対象児の感覚プロファイルでは,保育者の報告は保護者の報告よりも同程度かそれ以下に低く,環境調整等によって感覚特性による影響が抑えられている可能性が考えられた.事例個々の感覚特性は,個別性が極めて高い結果だった.特に重度の対象児では,感覚特性が多く見られ,その事が生活や行動に大きく影響していることが明らかとなった.場面の観察からは,視覚特性および聴覚特性が行動に影響していた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
データ分析において,動画データを補完することによって質的記述データの精度を高めるため,動画データから質的データに変換する作業に予想以上に時間が費やされている.また,動画データから特徴的な場面を切り取った動画データを使用し,視線計測データを得る計画であったが,ビデオカメラの設営場所の制限から使用可能な動画の抽出が困難であった.さらに重度の対象児が多く,作業手順に関する理解を得ることが困難であることから視線計測データに関する収集方法を再検討せざるを得ず,時間を要している.
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今後の研究の推進方策 |
得た事例データの分析を進め,発表および投稿する予定である.同時に対象数が少ないため,調査対象地域を拡大し,対象児を得ていく. また,視覚特性を明らかにする目的で行う視線計測は,手順について理解できる対象に限定し,素材となる動画や画像の選定を再検討する.
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次年度使用額が生じた理由 |
計測機器購入のため,前倒し請求を行った.次年度は,残金で執行する予定である.
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