研究課題/領域番号 |
16K12160
|
研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
柴 邦代 愛知県立大学, 看護学部, 准教授 (40413306)
|
研究分担者 |
天草 百合江 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (10757545)
岡崎 章 拓殖大学, 工学部, 教授 (40244975)
服部 淳子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70233377)
汲田 明美 愛知県立大学, 看護学部, 助教 (80716738)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 入院 / 在日外国人 / 子ども / 保護者 / 事故危険回避 / 教育ツール / ポルトガル語 |
研究実績の概要 |
H28年度は、研究1【危険回避教育ツールのリニューアル】として現行ツールを見直した。ツールを使用した保護者対象の質問紙調査の結果から、絵本の作成が難しいという意見等があり、配布方法等を検討する必要性が示唆された。 研究2【在日外国人の子ども向けツール開発に関連した調査】の内、「子育て中の在日ブラジル人の母親への危険回避行動に関する意識や行動に国籍による差があるかを確認する聞き取り調査」では、在日ブラジル人と交流のある協力者を介した調査の結果、ブラジル人保護者と日本人保護者で母親への危険回避行動に関する意識や行動の違いは確認されないが、外国人保護者への育児に関する情報提供や指導は十分行われておらず、その必要性が示唆された。入院経験のある子どもの保護者からは、ポルトガル語版ツール開発を期待する声が聴かれた。また、「在日外国人を受け入れる機会のある医療機関の看護師への入院中の子どもの事故の種類に国籍による違いがあるかを確認する聞き取り調査」では、入院中の子どもの事故の種類に国籍による差はないが、言葉による障壁などから、「転落」「転倒」「点滴抜去」の事故危険回避教育を外国人の子どもに十分できているとはいえない現状で、ツール開発の必要性は高いことが確認できた。 研究2の結果、ポルトガル語版ツールの早期開発への期待感が高かったことから、H30年に予定していた研究3【外国人向け危険回避教育ツールの開発】を早めた。外国人向け危険回避教育ツール(ポルトガル語版)は既に翻訳を終え、ブラジル人保護者による説明内容やデザインに関する聞き取り調査を行い、試作品を作成した。研究代表者が所属する研究機関及び研究協力に承諾の得られた医療機関1施設で倫理審査委員会の承認を得て、臨床での試行を平成29年4月から開始している。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画でH28年度に予定していた研究結果から、外国人保護者向けツールの開発は急務であると判断し、H29年度以降に予定していたポルトガル語版のツール開発を前倒して進めている。 予定変更に伴い、H28年度およびH29年度に予定していた研究2【在日外国人の子ども向けツール開発に関連した調査】は、対象者の規模を縮小して実施した。この結果をもとに、研究3【外国人向け危険回避教育ツールの開発】を開始し、試作品の評価に入っている。 ただし、現在進行中のツール評価研究については、これまでの研究の状況から、想定していたより対象者数が少なく、研究協力を得ることが困難であり、データ収集に時間を要する見込みである。
|
今後の研究の推進方策 |
現在、研究3【外国人向け危険回避教育ツールの開発】に着手しており、今後は現在の協力施設での3ヶ月の試行期間を経て、聞き取り調査を行い、その結果を踏まえて、試作品に改良を加えて、ツールの完成を目ざす。 現在の協力施設におけるツール使用が可能な小児の入院は、研究計画段階より減少傾向にあり、データ収集に時間を要する可能性があるため、結果がまとまり次第、ツールの修正に関する検討を行うとともに、研究4【改訂版「危険回避教育ツール」および「外国人向け危険回避教育ツール」の有効性評価】に向けた準備として、研究協力施設への依頼・調整を進めていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
当初の研究計画では、初年度に購入を予定していたツール修正用のイラスト作成ソフトおよびインタビュー用のICレコーダー等の購入が遅延したため、物品費に約25万円の差が生じている。また、人件費・謝金について、研究参加者として予定していた看護師への謝金が、今回は協力者が十分に得られなかったために不要となり、約25万円の差が生じている。
|
次年度使用額の使用計画 |
初年度に購入予定であったイラスト作成ソフトおよびICレコーダー等は、今後の研究遂行段階で必要となるため、早期に購入していく予定である。 また、人件費・謝金については、今後の研究段階で、初年度に協力が得られなかった部分のインタビュー調査を別の対象者で試みる予定であり、その際の謝金として使用する予定である。
|