研究課題
本研究は、看護師と第3号研修を受けた教諭が医療的ケアを実施している特別支援学校で1年間の医療的ケアの実施体制への支援プログラムを実施し、その効果として、支援プログラム前後の医療的ケアに関わっている看護師、教諭、養護教諭の認識と行動、並びに医療的ケアの実施体制、支援体制の変化を明らかにすることを目的に行った。最終年度である平成31年度は、研究協力校3校のデータを統合して分析した。その結果、3校で実施した支援プログラムの評価として、研究参加者である看護師18名、教諭81名、養護教諭6名のうち、勤務校の医療的ケアの状況が「改善した」「やや改善した」と評価した看護師は72.2%、教諭は55.5%、養護教諭は100%で、他職種とのコミュニケーションが改善し、連携の充実を認識していた。また、看護師89.9%、養護教諭100%が本支援プログラムは自分自身の利益になったと評価していたことから、本支援プログラムは看護師、養護教諭に有効であり、教諭にも一定の効果があると考えられる。また、3校に共通して見られた課題は、「学校における医療的ケアの基本的な考え方や各職種の役割、特に看護師の役割が不明瞭である」「医療的ケア関係者のコミュニケーション不足による医療的ケアに関する連携が不十分である」「行事や緊急時対応の際の各職種の具体的な行動が不明瞭である」の3点であった。学校全体をアセスメントしその学校の課題を明確にすることに加えて、①医療的ケアにおける基本的な考え方や各職種の役割の理解を促すこと、②医療的ケアの場面について看護師、教諭、養護教諭が一緒に話し合う機会を作ること、③医療的ケアの必要な児童生徒の行事や緊急時に対応する各職種の役割が明確に提示された個別のマニュアル等を作成することが有効であった。これらの支援が特別支援学校における医療的ケア関係者の連携を促進することが示唆された。
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小児看護
巻: 42(10) ページ: 1256-1262
巻: 42(10) ページ: 1293-1298