研究課題/領域番号 |
16K12164
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
高谷 恭子 高知県立大学, 看護学部, 講師 (40508587)
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研究分担者 |
池添 志乃 高知県立大学, 看護学部, 教授 (20347652)
中野 綾美 高知県立大学, 看護学部, 教授 (90172361)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 小児看護学 / 思春期 / 親子 / 発達障がい / 軌跡 / モデル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、発達障がいという複雑で目に見えない疾患とともに生きる思春期の子どもと親が、どのような軌跡を辿っているのか、その軌跡を説明できるモデルを構築することであり、【目標1】から【目標3】の遂行を予定している。本年度は、【目標1】発達障がいをもつ思春期の子どもと親が辿る軌跡を明らかにするという、昨年度の目標に引き続き、【目標2】理論的サンプリングとして、発達障がいをもちながら重複して健康問題をもつ思春期の子どもと親が辿る軌跡を明らかにすることを掲げた。 昨年度に示唆を得たことを踏まえ、発達障がいの特徴をより理解し、発達障がいをもつ思春期をもつ子どもと親の現実生活がより語られるようなインタビューガイドを目指し、作成を終えた。また、発達障がいをもつ子どもと親に関わった経験豊かな看護職者や多職種との意見交換を重ねる中で、幼少期に発達障がいと診断された思春期の子どもは、就学前や就学後の学童期に渡り、親子が専門家のアドバイスを受けながら、日常的に子どもの社会化を親は試行錯誤しながら取り組んでいること、そして、子どももそのような中で自分らしさを見つけようと取り組んでいることが考えらえた。したがって、本調査対象である思春期にある子どもと親の軌跡を明らかにするためにも、発達障がいとともに生きる学童期の子どもを育む親の取り組みを知る機会を作り、親子個々のオリジナリティあふれる取り組みをインタビューガイドに加味し、それらが思春期に居たりどう変化していくのか、この軌跡を明らかにしていくことの示唆を得た。 以上を踏まえて、研究者が所属する研究倫理審査への申請を終え、現在、本調査の実施を遂行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本調査を実施するにあたり、協力依頼を考えている施設の移転状況等も踏まえ、発達障がいをもつ思春期の子どもと親への十分な倫理的配慮を行うための準備性を整えるのに時間をさらに要した。具体的には、発達障がいをもつ子どもや親が体験する世界をより理解すること、彼らを取り巻く医療現場の理解を深めるために、実習施設での学びを共有したり、学会に参加し専門家との意見交換をもち、倫理審査申請に必要となる書類やインタビューガイドを見直したり、配慮を検討した。
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今後の研究の推進方策 |
1.研究協力機関を病院施設だけでなく、患者・家族会にも拡大しながら本調査の推進を行う。 2.研究者が研究分担者と連携しながら、データ分析の洗練化を速やかに行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 発達障がいをもつ思春期の子どもと親を研究協力者としたインタビュー調査の実施に向けて、半構成インタビューガイドの作成の見直し、並びに、研究者所属の研究倫理委員会への書類作成に時間を要した。さらに、発達障がいをもつ学童期の子どもを育む親の取り組みを理解した上で、本調査を実施することが有効であると考え、当初予定していなかった事前調査への参画を行ったため、本調査の実施時期が遅れてしまい、次年度使用額が生じた。 (使用計画) <1>本調査が効果的かつ効率的に遂行することができるように、研究協力機関への働きかけを関西・関東地方にも拡大するため、それに伴う研究依頼に必要な郵送費や旅費等の使用額を増額する。<2>本調査によって得られた音声データを外部委託しながら、分析過程に必要な時間を確保するために、音声起こしに関する謝金等の使用が生じる。<3>発達障がいをもつ子どもと親への支援は海外において進んでいる状況である。日本文化を踏まえた軌跡モデルの構築を試みるが、発達障がいの子どもと親へのプログラム開発が進んでいる海外における、子どもと親の体験世界をより良く理解するための情報収集も視野に入れ、データ収集活動に活かせるようにしていく。
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