研究課題/領域番号 |
16K12166
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研究機関 | 青森中央学院大学 |
研究代表者 |
齋藤 美紀子 青森中央学院大学, 看護学部, 准教授 (40312508)
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研究分担者 |
中久喜 町子 青森中央学院大学, 看護学部, 教授 (30279830)
中村 祥子 青森中央学院大学, 看護学部, 助教 (30644356)
吉川 由希子 敦賀市立看護大学, 看護学部, 教授 (50269180)
山野内 靖子 八戸学院大学, 健康医療学部, 講師 (70557230)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 子育て支援 / ファミリーサポートセンター / 病児・病後児 / アドバイザー / 役割意識 / コンピテンシー |
研究実績の概要 |
①病児・病後児に対応する際のアドバイザーとしての必要な能力(コンピテンシー)の抽出 面接調査のデータから、アドバイザーが意識している役割について分析を行った。その結果、アドバイザーが病児・病後児の預かりで意識している役割として、【ボランティア活動の前提を守る】、【提供会員の量と質を保つ】、【丁寧に確実にマッチングする】、【良好な関係を築く】、【安全な預かりをめざす】の5つのコアカテゴリーが抽出された。コアカテゴリーは25のサブカテゴリー、11のカテゴリーで構成されていた。 アドバイザーが意識している役割として、子どもの安全な預かりを目指すこと、求める支援に適切に応じるためのマッチングに関することが多く語られており、それぞれが重要なコアカテゴリーを形成していた。背景として、センター事業に求められる支援の多様化が考えられた。地域での子育ての手助けから始まった相互援助活動が、現在は病児・病後児預かりを含めた多様なニーズに対応するようになってきている。アドバイザーは子どもの病状等から受け入れの判断をし、依頼会員から留意内容を確認して提供会員と共有するようにしていた。また、預かり児の病状の急変やサポーターの家族への感染予防など、予期的危機管理も役割として意識されていた。 ②病児・病後児対応に関するサポーター、アドバイザー双方の立場からの現状分析 アドバイザーの調査から、ファミリーサポートセンターでの病児・病後児預かりについてはマッチングに苦慮することが多く、「依頼は最終的にサポーターが受諾すること」によって成立している現状が明らかになった。一方、サポーターは病児・病後児を預かる際の不安として、病状、1人での対応、未受診の子ども、家族への感染を上げていた。やりがいとしては、子どもとの良い関係、役立っていることの実感、感謝される、子どもの成長が見られるなどが述べられていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ファミリーサポートセンター事業における病児・病後児対応について、この3年間に依頼会員(援助を受けたい保護者)、サポーター(援助を提供する会員)、アドバイザー(援助活動の支援調整)3者のそれぞれの認識を明らかにしてきた。病児・病後児対応については子どもの安全と安心が第一優先であることから、コーディネートするアドバイザーの対応能力(コンピテンシー)がより重要となるが、病児・病後児対応に焦点をあてたアドバイザーの役割意識に関する分析に予想以上に時間がかかり、平成30年度前半までずれ込んだため、これを基盤として行う質問紙調査の実施が遅れた。しかし、コンピテンシーの構造が明らかになったことから、研究補助期間を延長し、当初計画していた質問紙調査およびプログラムの考案が行える見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
ファミリー・サポート・センターでの病児・病後児対応をより安全で安心できるものにするための支援者の行動能力(コンピテンシー)を明らかにし、それに基づいた研修プログラムを考案する。 平成28~30年度の研究成果に基づき、2019年度に実施する全国のアドバイザーへの調査結果もふまえて、子育て援助活動支援者であるアドバイザーのコンピテンシーについて研究者間で検討し、コンピテンシーリストを作成する。これに基づき、支援者の研修プログラムを考案する。ファミリー・サポート・センターの協力を得て学習会を実施し、内容をブラッシュアップして、最終的な研修プログラムを作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成30年度に計画していた質問紙調査および研修プログラムの考案に遅れが生じたため、それに必要な経費を使用せず、研究補助期間延長の承認を受けて次年度へ繰り越すこととした。 次年度は課題の最終的な成果を得るために研究計画を実施する。アドバイザーの役割意識を基盤とした支援者コンピテンシーに関する質問紙調査を実施する。そのために、質問票の印刷、通信費、データ入力補助、資料整理にかかわる人件費が必要である。また研究課題の最終年度であることから、報告書を冊子体としてまとめ、関係諸機関へ研究成果を報告するための費用が必要である(印刷費、通信費)。さらに、県内ファミリーサポートセンターとの研修プログラム検討会および学習会を実施するために、数回の会議を予定しており、そのための会議費が必要である。
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