本研究は、尿失禁予防の観点で、骨盤底筋群だけではなくコアマッスルを含めた積極的な尿失禁予防という新しい概念に注目し学際的な視点に立って女性の体感を支持する組織と機能を検討し、周産期からの尿失禁予防に取り組んだ。研究目的は「尿失禁を予防する分娩期ケアプログラムの開発」である。 研究方法:記述的比較研究である。介入群は、妊娠中からコアマッスルを強化するエクササイズを行い、分娩期に骨盤底筋の障害が最小限となる伸展姿勢と呼吸(6秒以内の努責)を行った。対照群は、妊娠中は通常のケアを行い、分娩時はバルサルバ呼吸法と屈曲した体位で行った。また、全ての対象者に骨盤外計測を実施した。分析は、χ2検定、t検定、ロジスティック回帰分析で解析した。 結果:最終的な研究対象者は85名で、データ解析ができたのは61名であった。介入群と対照群の2群で産後1か月の尿失禁の有症率を比較した。分析は、χ2検定、t検定、ロジスティック回帰を行った。その結果、尿失禁の有症率の差はなかった。骨盤外計測に関しては、外結合線、尾骨-後上腸骨棘間の距離に差がある者に尿失禁が多かった。 考察:尿失禁の発症には有意差がなかったが、対象者のサンプルサイズが少なかったことが要因として挙げられる。また、介入群の対象者年齢は35-39歳が多く、年齢に偏りがあった。また、骨盤外計測に関しては、測定者の測定技術の統一に限界があり、信頼性に疑問が残った。また、産後の尿失禁の有意差は出なかったが、尿失禁の要因を深く分析し考察を深める予定である。
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