研究実績の概要 |
本研究課題に基づく3つの研究を進めた。 第1の研究「妊娠中の心理社会的要因と生後の児の気質との関連」および「児の早期気質が親の心理社会的要因に及ぼす影響」について、前年度に引き続き、6つ産科医療機関の協力を得て、妊娠期から産後1年までの縦断調査を継続実施した。目標とする研究協力者数が得られ、産後1年までの追跡データの回収を進めた。 第2の研究「日本における乳幼児の気質測定法の信頼性・妥当性」について、3~4歳の日本人の子ども900人の気質調査データの解析を進めた。EASI(Buss & Plomin, 1975)について、オリジナルの理論に基づく4因子構造が確認された。Emotionality とImpulsivity に負荷する観測変数を説明する一般因子をおいた部分双因子モデル(14 項目4 因子)では、評定する親の性別、児の性別、児の年齢、反復測定について、測定不変性【strict】と構造不変性【分散、共分散】が満たされることが確認できた。また、4つの気質タイプ(Average-Active, Regulated, Average-Quiet, Sensitive)が明らかになった。PSTCI(Cloninger, Constantino, & Clarke, 1997)について、Cloningerの理論どおりのTemperament4因子、Character3因子が確認され、さらに、評定する親の性別、児の性別、年齢、反復測定について測定不変性と構造不変性が確認できた。 第3の研究「年齢横断簡易気質測定法の開発」について、Rothbertの気質理論に基づき、年齢横断簡易気質測定尺度(TOTM)試作版を作成、4~7歳の日本人の子どもを持つ親1300人に対しインターネット調査を実施した。各年齢の子どもと親のデータを比較しながら解析を進め、年齢横断気質尺度の開発をめざした。
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