研究課題/領域番号 |
16K12182
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研究機関 | 東京医療保健大学 |
研究代表者 |
齋藤 益子 東京医療保健大学, 看護学部, 教授 (30289962)
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研究分担者 |
濱嵜 真由美 宮崎県立看護大学, 看護学部, 准教授 (90352335)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 妊娠期の助産診断 / 産褥期の助産診断 / 診断名・診断指標 |
研究実績の概要 |
①平成30年度は、28年度に妊娠期及び産褥期の診断名と診断指標について全国の助産外来担当助産師を対象に診断指標の臨床での使用状況について調査しており、そのデータの入力と分析を行った。妊娠期の健康生活診断の類型、診断名、診断指標、産褥期の健康生活診断類型、診断名、診断指標のそれぞれについて、よく使用されているものを抽出し、因子分析を行い、新しく診断類型、診断名、診断指標を作成した。これらは既にマタニティ診断として公表しているものであるので、新しい診断名と診断指標について、助産師の有志に意見を聞きながら、今後、公表して改定を進めていくことにしたい。 ②日本助産診断実践学会の設立の準備を行い、平成30年4月に設立総会を実施し、9月8日に第1回学術集会を東京で開催した。この学術集会は、医師と助産師が共通言語として妊産婦を診ていく視点となる診断名の開発をめざしている。現在のマタニティ診断では、妊産婦に異常がみられるときに、「要精査」と診断して、医師の診療を乞うようにしているが、要精査の内容に関する診断名は開発していない。そこで、研究の一環として「要精査」の精査内容の表現についても検討を進めている。 ③産後1月から4月の産後ケアの対象となる母子を診る視点が「産褥期」の診断名ではカバーできない現状がある。「産後期」を1か月~4か月と定義して、その間に母子を観察する視点としての助産診断名の開発を進めている。産後の母子の特徴を整理し、そこから母親の状態、児の状態、育児環境と3つの類型を作成してそれに応じた診断名と診断指標を検討している。この診断名の開発には産後ケアを実際に実施している施設の助産師や産科医にも協力してもらい情報を収集している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初は3年の計画であったが、2年目に宮崎県立看護大学に移動し、職場環境及び第36回日本思春期学会(宮崎市シーガイア)を開催したことなどから、殆ど研究に取り組むことができなかった。3年目に調査データの処理を行い、新しい診断名と診断指標を作成したが、診断名・診断指標の信頼性・妥当性の検討が十分にできなかった。そこで、補助事業期間を延長することとした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、新しい診断名と診断指標について助産師や産科医師を対象に妥当性の検討をする予定である。9月に開催予定の日本助産診断実践学会時に公表して意見を頂くと同時に全国の院内助産・助産外来を実施している施設の助産師に対する郵送調査を行う。また、産褥期の延長である産後ケア時(産後1月~4月)に使用できる「産後期」の診断名の開発も行う。作成できた診断名と診断指標はNANDA-Iに報告し、英文として公表する。それを妊産婦の継続的な支援システムが構築されているニュージランドの助産師にヒヤリングを行い、わが国で開発した助産診断名が国際的に活用できるかどうかについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年4月から宮崎県立看護大学に赴任したため、職場環境が異なり、研究に専念する時間がなく、研究活動がスムーズに進まなかった。30年度になってから研究を進めたが、充分な検討ができなかった。 次年度は、新たな診断名の確定とその検証のための調査を行い、報告書を作成する。また、研究成果をNANDA-Iに報告し、英文として公表する。それを元に妊産婦に対する継続的な助産師の支援システムが整っているニュージランドの助産師に対してヒヤリングを行い、開発した診断名が国際的に活用できるかどうかを検討する。
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