研究課題/領域番号 |
16K12191
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
谷口 好美 金沢大学, 保健学系, 准教授 (50280988)
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研究分担者 |
水野 真希 日本赤十字看護大学, 看護学部, 講師 (60547181) [辞退]
野上 睦美 金城大学, 看護学部, 助教 (20584353)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高齢者ケア施設 / 専門職QOL / 共感性疲労 / 共感性満足 / 看護職 / 介護職 |
研究実績の概要 |
本研究は、高齢者ケア施設の看護・介護に特有な専門職QOL(ProQOL)の概念構造を明らかにすることを目的としている。平成29年度は、病院・高齢者ケア施設に勤務する看護職・介護職 の質的データから専門職QOLの構成要素である「共感性疲労(Compassion Fatigue)」「共感性満足(Compassion Satisfaction)」の概念分析を行った。北陸の一般病院、介護老人保健施設、介護福祉施設に勤務する看護職・介護職を対象にした無記名自記式質問紙調査の自由記載で、ケアを行う上で強いストレスを感じた出来事と、ケアに関連して満足感を得た出来事の記述をデータとして、カテゴリー化を行った。看護職256名(88.3%)介護職29名(10.0%)、職務経験 年数平均16.5±9.4年、転職経験あり178名(61.4%)のうち、自由記載のある90名(回答率30.8%)の質的データを分析対象とした。共感性疲労の概念を明らかにするために、強いストレスを感じた出来事の記述から[過度でエンドレス・多重課題な仕事の従事][スタッフ間 ・他職種との葛藤・軋轢][専門職として脅かされた体験]を抽出した。一方、ケアに関連した満足感を分析した結果、[患者・家族の反応][チームの協働][看護実践][専門職としてのプライド][一人一人の個人的資質]で、主として患者・家族の回復、好ましい反応が看護職・介護職の満足感を支持していることが示された。既存の専門職QOLでは、共感性疲労と共感性満足のバランスの保持が重要であり、今年度抽出したカテゴリー・概念構造と併せて継続して検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
専門職QOL尺度(Stamm,2012)の構成要素である共感性疲労、共感性満足の概念分析は重要であり、平成29年度は質的データ、文献による検討に時間を要した。年度途中で研究分担者の変更があり、役割分担も変更している。研究遂行に支障はないが、予定よりやや遅れている状況と考える。
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今後の研究の推進方策 |
質的データと文献検討により概念分析を行い、やや遅れが生じていることから、平成30年度に軽微な計画変更のうえ実施する予定である。現状に合った概念を明らかにするために、高齢者ケア施設に勤務する看護職・介護職を対象に調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) データ分析に使用した物品について予定金額より安価で購入することができたこと、平成29年度途中で研究分担者に変更あり、分担金の返還で100,068円の差額が生じた。 (使用計画) 平成30年度は、高齢者ケア施設に特有な専門職QOLを明らかにするために、看護・介護職に対する調査を計画している。平成30年度に配分される研究費に差額を加え、高齢者ケア施設への旅費、質的分析用のソフトウエア等、データ分析に必要な物品購入に使用する予定である。
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