研究実績の概要 |
本研究の目的は,「介護施設の認知症高齢者の生活機能を支える多職種協同ケア指標」を開発することである。 国内外の文献検討により160要素,55事象,21項目から成るA4版の「介護施設の認知症高齢者の生活機能を支える多職種協同ケア指標(Ver.1)(以下,ケア指標Ver.1)」を作成した。次に,ケア指標Ver.1について1)介護施設の看護職・介護職各2,820名への質問紙調査により必要な要素・項目を検討,2)介護施設において経験年数5年以上の看護職・介護職8名へのインタビュー調査により使用可能性を検討,3)認知症高齢者ケアの専門家8名へのインタビュー調査により内容妥当性の検討をした。1)~3)の結果を統合し,137要素,40事象,21項目,使用手順書,使用尺度の説明から成る「介護施設の認知症高齢者の生活機能を支える多職種協同ケア指標(Ver.2)(以下,ケア指標Ver.2)」を作成した。その後,ケア指標Ver.2を介護施設の認知症高齢者8名に試用し,主担当として試用した看護職・介護職にインタビュー調査を実施した。 2022年度は,ケア指標Ver.2の試用過程や使用後に述べられた,意図が伝わり難い要素・事象・項目の言葉の修正,内容が重複していた要素の削除の検討を行った。また,介護施設の看護職・介護職が実際に使用できる使用期間の検討をした。最終的に,135要素,40事象,21項目,使用期間を含む使用手順書,使用尺度・用語の説明書から成る「介護施設の認知症高齢者の生活機能を支える多職種協同ケア指標(Ver.3)(以下,ケア指標Ver.3)」を開発した。 今後は,ケア指標Ver.3を介護施設で活用し,認知症高齢者,多職種の両側面から効果を評価し,介護施設で負担なく効果的に活用できる「介護施設の認知症高齢者の生活機能を支える多職種協同ケア指標」を検討していく必要がある。
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