研究課題/領域番号 |
16K12197
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
國吉 緑 琉球大学, 医学部, 教授 (80214980)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 老年看護学 / 高齢者虐待 / 介護施設 / 不適切なケア / 介護施設従事者 |
研究実績の概要 |
初年度は、国内における施設内高齢者虐待研究の現状を把握するためデータベース(医中誌)を活用し、「高齢者虐待」「施設」「不適切なケア」をキーワードに文献収集を行なった。文献の種類としては解説(特集)、原著(調査報告も含む)とし、250文献が抽出されたが、期間を高齢者虐待防止法施行後から2016年度の11年間に絞込み、在宅及び症例、会議録を除外すると62文献が抽出され、その内の21文献が原著であった。原著論文のほとんどが横断的研究で施設従事者や実習学生を対象に質問紙調査が行われていたが、グループインタビュー及び自由記載等に関しては質的に分析されていた。これらの文献より施設における虐待行為や不適切なケアの発生要因をキーワードであげると、職員のストレス、感情コントロール、施設の運営体制、職場内環境・職場内の人間関係、労働負担、勤務体制、マンパワー不足、単独夜勤、ケアスキル、資格、経験年数、性差、高齢者イメージ、認知症BPSDなどとの関連が示されていた。虐待予防対策としては、定期的な教育・研修を継続的に行うことで施設従事者の虐待や不適切なケアに対する予防意識を高める必要性や、そのためには感情のコントロール、ケアスキルの向上など、従事者個々の資質や意識に関連する実践的な内容とともに施設の構造的課題も含めた取り組みの必要性があげられていた。文献上、「不適切なケア(介護)」として明確な定義や基準は示されていないが、顕在化された虐待行為の周辺には不適切なケアが存在しており、その行為の連続線上に高齢者虐待が発生しており、柴尾による概念図に基づいた行為を「不適切なケア」として捉えられていた。 また、沖縄県内の介護施設従事者を対象に高齢者虐待行為及び不適切なケアに関する質問紙調査の質問項目について収集した文献を参考に不適切なケア30項目を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の予定では沖縄県内の介護施設従事者を対象に高齢者虐待行為及び不適切なケアに関する質問紙調査を実施する予定であったが、連携協力者との調整が難しく、また調査票作成に時間を要したため年度内に調査実施までに至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
沖縄県内の介護施設一覧より統計的手法を用いて施設を無作為に抽出し高齢者虐待行為及び不適切なケアに関する質問紙調査を実施する。また施設従事者及び一般市民を対象に高齢者疑似体験を行い、体験後、ワールドカフェ形式で介護施設における「高齢者虐待行為」「適切なケア」「高齢者虐待の予防・対策」をテーマにグループワークを実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
施設従事者に対する質問紙調査を実施することができず、そのため備品費、通信費、人件費、謝金が使えなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
繰越金は初年度計画の調査を実施するために必要なもので、それを実施するため次年度に使用する。
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