研究課題/領域番号 |
16K12197
|
研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
國吉 緑 琉球大学, 医学部, 教授 (80214980)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 老年看護学 / 高齢者虐待 / 介護施設 / 不適切なケア / 不適切な行為 / 介護施設従事者 / 職業性ストレス簡易調査 / エイジズム |
研究実績の概要 |
今年度は前年度行った調査の高齢者に対する不適切な行為とストレス及びエイジズムとの関連について分析を行った。厚生労働省の高齢者虐待の定義を参考に、介護施設従事者が高齢者を権利利益が侵害される状態や生命、健康、生活が損なわれるような状態に置くと考えられる行為として高齢者に対する虐待および不適切なケアを、高齢者に対する不適切な行為とした。ストレスについては、先行研究を基に作成した不適切な行為30項目の体験の有無別に2群に分類した。職業性ストレス簡易調査票を用い、仕事のストレス要因である仕事負担度及びコントロール、仕事の対人関係や適合度の各下位尺度をそれぞれの基準値に従ってストレス低群と高群の2群に分け、不適切な行為の有無を目的変数としたロジスティック回帰分析を行った。その結果、仕事のコントロールが不適切な行為のリスクに関連があることが示唆された。エイジズムとの関連では、原田らが開発したFSA短縮版14項目を用いた。本尺度は得点が高いとエイジズムが高いとされており、14項目の合計得点の中央値でエイジズム高群と低群に分類した。また高齢者に対する不適切な行為の認識の有無について30項目の3カテゴリ「利用者の侵襲となる行為(12項目)」「職員の都合を優先した行為(9項目)」「施設の都合を優先した行為(9項目)」別に認識有りに1点、なしに0点を配点しカテゴリごとに合計得点を算出し、中央値で不適切な行為の認識高群と低群に分類した。不適切な行為の認識を目的変数、FSA短縮版の合計得点を説明変数としてロジスティック回帰分析を行った。その結果、エイジズムが強いものほど不適切な行為に対する認識が低かった。また高齢者虐待の要因である要介護高齢者や認知症についての実状を把握するため、介護保険の先駆けであるドイツの視察研修に参加し認知症ケアを推進するためのボランティアに対する教育・養成に関する示唆を得た。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
仕事と介護の多忙により研究時間の確保が難しく、また前年度の調査の再整理とクリーニング及び要因の分析に時間を要したため、研究遂行が予定より遅れた。そのため具体的に予定していたグループワーク及び資料収集を行うには至らなかった。当初予定していたグループワークに関しては、次年度に実施予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
施設従事者及び一般市民を対象に高齢者疑似体験を行い、体験後、介護施設における「高齢者虐待行為」「適切な行為・不適切なケア」「高齢者虐待の予防・対策」をテーマにグループワークを実施する。そのために対象者(フィールド)を早期に確保する。対象の選出が難しくグループワークを実施できない場合の対応として、個別(施設従事者、一般市民)インタビューを実施する予定である。 施設内高齢者虐待防止に関する教育プログラム、実践教育等に関する資料収集を行なう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 仕事と介護の多忙により研究時間の確保が難しかったことや前年度の調査の再整理とクリーニング、分析に時間を要したことから、当初に予定していた研究が遂行できなかったためである。 (使用計画) 繰越金は前年度の計画を遂行するために必要なもので、その遂行に使用する。
|