研究課題/領域番号 |
16K12198
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 真澄 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (80315522)
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研究分担者 |
粟生田 友子 国立障害者リハビリテーションセンター(研究所), その他部局等, 看護部長 (50150909)
道信 良子 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70336410)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | せん妄 / 高齢患者 / 家族 / せん妄の体験 / ナラティブ / 質評価指標 |
研究実績の概要 |
本研究は、急性期医療を受ける高齢患者とその家族の視点を含む包括的なせん妄ケアの質評価指標を開発することを目的とする。患者と家族の視点を含めた評価指標の開発のために、本年度は、高齢者と家族を対象とするせん妄ケアに関するナラティブ調査の準備として、せん妄の体験に関する文献検討を行った。 せん妄の体験に関する先行研究の動向として、研究対象はICU患者が多く、せん妄体験の記憶率は20~75%とばらつきがあった。せん妄に関する記憶のテーマは、「現実と非現実」「昼夜の不明」「思考のくもり」「コントロールの欠如」「過去と現実が曖昧」「コミュニケーション困難」などであった。ICU患者ではせん妄後PTSDの問題、終末期患者ではせん妄による苦痛の経験を示唆する文献もみられた。また、せん妄状態をみた家族の70%が自責の念、不安、無力、極度の疲労といった苦痛を体験していることが報告されていた。 以上からナラティブ調査では、せん妄発症時に語ることと、振り返って話す内容は異なる可能性を考慮し、せん妄発症時(あるいは発症前)から患者と共に過ごしつつ観察し、症状が落ち着いたところでフォーマル・インタビューを実施する必要があると考えた。家族へのインタビューについては、高齢患者との続柄や関係性が多様であることから、今回のナラティブ調査には含めないこととした。ただし、ナラティブ調査とは別に「せん妄患者の家族との対話」をとおして、ナラティブ調査の結果を知らせてフィードバックをもらうことで、信頼性・妥当性を確認する機会とすることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
文献検討の結果、ナラティブ調査の対象者と方法を再考したため、データ収集の着手が遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
ナラティブ調査の研究計画について所属機関の倫理審査委員会に申請し承認を得る。研究フィールドとの調整を行いデータ収集に着手する。また、せん妄の予防、啓発に関する一般市民向けのホームページを開設し、ナラティブ調査実施後に計画しているせん妄患者の家族との対話への参加者を募る準備を行う。 せん妄ケアの質評価指標に盛り込むせん妄の予防・改善に資するケアのプロセス・システム・資源について、文献検討を継続し、明確化する。
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次年度使用額が生じた理由 |
ナラティブ調査およびホームページの開設にかかる経費を計上していたが、実施に至らず次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度はナラティブ調査の実施およびホームページの開設経費として繰り越し予算を執行する予定である。
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