研究課題/領域番号 |
16K12198
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
長谷川 真澄 札幌医科大学, 保健医療学部, 教授 (80315522)
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研究分担者 |
粟生田 友子 埼玉医科大学, 保健医療学部, 教授 (50150909)
道信 良子 札幌医科大学, 医療人育成センター, 准教授 (70336410)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | せん妄 / 質評価指標 / 入院患者 / ケアの質 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、入院患者のせん妄の予防および発症時の看護について、ケアプロセスに沿って評価するせん妄ケアの質評価指標を開発することである。せん妄ケアは、患者の個別性に応じた複合的な看護援助の提供と、多職種との連携が重要になる。これまでのせん妄の介入研究では、ケアの効果をせん妄発症率や発症期間、患者のADLや認知機能レベルなどで測定されてきた。しかし、せん妄は発症要因が多様であること、個別性の大きい高齢者に多く発症することから、従来の測定用具で介入効果を見出すのは難しいのが現状である。本研究は、看護師が実践するケアプロセスに沿って評価可能な指標を開発するものであり、看護師の日々の実践の振り返りや、組織のせん妄ケアシステムの評価、あるいは看護師へのせん妄ケアに関する教育介入効果の測定などに活用することが期待できる。 本年度は前年度に引き続き、せん妄ケアの質の評価指標となる項目要素を抽出するために質的研究の追加データの収集と分析を行った。分析の妥当性を確認するための追加データは、一般病院の看護師3名を対象に、せん妄リスクのある患者6名のケア場面の参加観察とインタビューを行い、エスノグラフィーによる分析を継続した。 その結果、看護師が実践するせん妄ケアの構成要素は、前年度の分析で抽出されていた「患者に受け入れてもらう」「チームで対応する」「日常性を取り込む」「からだの自然なリズムを整える」「ストレスに対処する」「リスクを予測する」の6つに加え、新たに「せん妄症状から回復させる」が抽出された。また、中核テーマは「患者のストレスを予測し、安全・安楽に過ごせるようにする」ことであった。これらの研究成果に基づき、せん妄ケアの質評価指標の項目案を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度中にせん妄ケアの質評価指標案の信頼・妥当性の検証を行う予定であったが、質的データの妥当性を確保するための時間が必要となり、評価項目案の妥当性の検討に至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間を延長し、せん妄ケアの質評価指標案の信頼・妥当性を検証し、研究成果をまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年2月に国際学会に演題発表・参加予定であったが、新型コロナウィルス感染拡大により現地開催が中止となり旅費の執行額が大幅に減少した。また、評価指標の信頼性・妥当性検証のための調査にかかる費用が執行できなかったことで、未使用額が生じた。研究期間を延長し研究を継続して残額を執行する。
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