高齢者は,運動やトレーニングに苦手意識をもつものも多く,転倒予防にむけたプログラムの継続には,いかに,楽しく安全にトレーニングに参加し,モチベーションを維持していけるかが鍵となる.武道の動きを活用したトレーニングにおいて,参加者が新しく獲得している技能の上達を実感することは,モチベーションを維持するために重要であり,そのためには,自分の動作の特徴や癖を客観的かつ定量的に知ることができるシステムが望まれる.従来システムでは,計測のためにキャプチャースーツの着替えが欠かせない,計測場所が限定される,高価で気軽に使えない,速い動きが測定できない,画像処理の労力が膨大であるなどの課題があった.短剣道で用いる短竹刀は,短く軽量で携帯しやすい.そのため,畳一畳ほどの屋内スペースがあれば,自宅リビングの片隅でも,屋内の小スペースでも,一人でトレーニングをすることができる.そこで,本年度は,思い立ったその時に,その場所で,そのままの服装で,トレーニングを行う際の動作計測を可能とするために,1台の小型高速度カメラと簡易なカラーマーカを使い,トレーニングウエアのようなゆとりのあるサイズの衣服でも,あるいは,カラフルな色の服を着ていても,動作を推定可能とするシステムを構築した.また,トレーニングをゲーム感覚で楽しく行うことができる,歩行訓練マシンの開発を進めた.研究成果は,国内および国際会議で発表した.
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