研究課題/領域番号 |
16K12201
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研究機関 | 兵庫大学 |
研究代表者 |
肥後 すみ子 兵庫大学, 看護学部, 教授 (90320770)
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研究分担者 |
深井 喜代子 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (70104809)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 入浴 / 高齢者 / 血圧 / 段階的起立 / たちくらみ |
研究実績の概要 |
【目的】本研究では湯を張った浴槽からの出浴時に一気に立ち上がる(以下、1段階起立法)と一段階間をおいて立ち上がる2段階起立法を設定し、起立時の血圧変動や自覚症状を減少させることが可能という仮説を立て実験に取り組んだ。今回の研究対象は基礎研究と位置づけ若年者6名を対象とした。【実施計画】対象者は20.0±1.0歳で、生活習慣病及び喫煙歴はなかった。しかし、過去に42℃以上の高温浴で「立ちくらみ」を体験したものが4名いた。実験は準実験デザインを用いて同一の対象者に2パターンを実施した。湯温は40±1℃、7分間浸水した。2段階法では6分浸水後に浴槽内に設置した浴用いすにさらに座位1分間(半身浴)保持した後に出浴した。出浴後は1分間起立保持をした。測定項目は、血圧、脈拍、体温、自律神経活動、近赤外光による酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)を測定した。【結果・考察・結論】血圧、脈拍、体温、自律神経活動、近赤外光による酸素化ヘモグロビン(oxy-Hb)の生理学的指標に対して1段階法と2段階法の比較では有意な差はなかったが、郡内では有意差が認められた。体温に関し、両群とも入浴前と比較して入浴終了直後が高くなっており、より1段階起立法のほうが高い数値を示した。これは2段階起立法の場合、浴槽内で椅子座位を1分保持したことで半身浴となり上半身の体温保持が困難だったことを示していると推測する。入浴後の自覚症状では、1段階法では6名中4名が「立ちくらみ」を自覚し、2段階法では1名同様の訴えをした。この1名は1段階法でも「立ちくらみ」を自覚していた。以上のことから浴槽内から立ち上がる時は、いっきに立ち上がる1段階法よりも2段階法のほうが生理学的には変動が少なく、自覚症状も少ないと推測される。本取り組みの成果は、2018年度の日本看護科学学会に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
一昨年から職場を2回移動し、本研究の科研費をいただいて、短期間に3つの職場を移動しなければならない状況になった。当該年度は3つ目の移動となる私立大学に勤務している。着任校での新しい科目を受け持ったり、役割遂行があり、研究に取り組める環境を整えることができなかった。そのため、進捗状況に遅れが発生した。
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今後の研究の推進方策 |
当該年度は研究の本命である高齢者の入浴時の安全な方法を検討することである。そのため次は、高齢者を対象にした同様の実験を行い、高齢者の場合の反応を考察することが必要である。高齢者のデータ収集はほぼ終了しているが、対象者になった方の中に薬物を内服しており、データへの影響が危惧されることを含んでいる。そのためそのようなデータをどのように対処するか検討した後に、データ整理・解析・分析・学会発表・論文作成に取り組む計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は研究の遅延が生じたため経費の使用ができなかった。そのため次年度の使用額が発生した。 一昨年前にデータ収集したものが整理できていない。そのデータ整理と分析、文献資料収集、英文作成の経費、学会発表のために使用する計画である。
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