研究課題/領域番号 |
16K12203
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
杉本 知子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (00314922)
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研究分担者 |
森 一恵 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (10210113)
鳥田 美紀代 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (50325776)
佐伯 恭子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 助教 (70433183)
高柳 千賀子 東京情報大学, 看護学部, 准教授 (60310314)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢者 / がん / 在宅生活 / 移行 |
研究実績の概要 |
平成28年度は、高齢がん患者の地域生活への移行とその生活の継続に影響する要因を明らかにするための文献レビューに取り組んだ。具体的には、医中誌Webを用いて「高齢者」「がん」「在宅医療」という3つのキーワードを全て含むものを中心に計22文献を抽出し、レビューを行った。文献内で検討されていた事象のうち最も多かったのは「在宅死」であり、次いで「在宅移行の実現」であった。また、上記の各事象には、「患者本人・家族に在宅療養の希望があること」などの【患者・家族の要因】のみでなく、「病棟看護師と訪問看護師が連携していること」などの【他職種・他部門との協働・連携の要因】も影響を与えることが報告されていた。これらから、高齢がん患者の地域生活への移行等の支援においては、在宅医療等に従事する専門職との協働・連携に関する知識や技術を病棟看護師が身につけておくことが重要であると考えられた。そこで、がん患者のケアに従事する看護師の専門職連携に関するスキルアップに向けた取り組みの現状を把握するため、2011~2016年の5年間に学術団体が日本国内で開催したがんに関する研修会のうち、「在宅医療等に従事する専門職との協働・連携」を教育内容として含んでいたものをホームページ上で確認した。その結果、日本がん看護学会が開催した3回の研修会のみが該当したことが分かった。また、「がんに関する研修」の成果について2006~2016年の期間に公表された文献を検索したところ、同様の教育内容を取り入れていたことが確認できたのは5件とわずかであった。以上から、本研究において構築を目指す「スキルアップ教育枠組み」では、病院に所属する病棟看護師の専門職連携にかかる実践力強化を教育目標の中心に据える必要があると考えられた。そのため、今年度に実施を予定している面接調査では、この点に焦点を当てながらデータ収集を行うことする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請時の計画において、平成28年度での実施を予定していた項目はほぼ終了したため、実施内容をまとめ、平成29年度中に論文投稿もしくは学会発表を行う計画である。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は申請時の計画に沿い、高齢がん患者が病院から地域生活にスムーズに移行できたり、地域での生活を看取りまで継続できるための支援に関する示唆を得ることを目指し、病院に所属する病棟看護師や退院調整看護師、介護保険施設や訪問看護ステーション等に所属する看護師を対象とし、「看護師が独自に提供している支援の内容とその実際」、「看護師が他職種・他部門と協働・連携して行っている支援の内容とその実際」を把握するための面接調査を実施する。 上記の調査の実施に先立ち、平成29年4~7月の期間に、申請者の所属機関において研究倫理審査を受ける予定である。研究倫理審査委員会の承認が得られた後には、速やかに上述した面接調査を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
申請時の計画では、平成29年度に実施予定の面接調査の対象者を東京圏に所在する病院や介護保険施設、訪問看護ステーション等に勤務する看護師としていた。しかし、東京圏に限定した場合には、調査対象者の確保が困難になることが予測されたため、面接調査時の旅費の確保のために使用額の差が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度は、申請時の計画に従い、病院、介護保険施設、訪問看護ステーションなどに勤務する看護師から幅広くデータを収集する計画である。現時点では、東京圏内のみならず、静岡県を中心とする中部地方、宮城県や岩手県を中心とする東北地方、大分県を中心とする九州地方に所在する各施設等にも研究協力の依頼を行い、承諾が得られた後に、調査を行う計画である。
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