研究課題/領域番号 |
16K12203
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研究機関 | 千葉県立保健医療大学 |
研究代表者 |
杉本 知子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 教授 (00314922)
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研究分担者 |
森 一恵 聖隷クリストファー大学, 看護学部, 教授 (10210113)
鳥田 美紀代 東邦大学, 健康科学部, 准教授 (50325776)
佐伯 恭子 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 講師 (70433183)
高柳 千賀子 東京情報大学, 看護学部, 准教授 (60310314)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢者 / がん / 療養生活の場の移行 / 地域の中での療養生活の継続 |
研究実績の概要 |
平成29年度は、「がん高齢者の地域生活への移行と継続を支援する看護師のスキルアップ教育枠組み」の骨子を明らかにすることを目指し、19名の看護師を研究対象者とした面接調査を実施した。 面接対象者の性別の内訳は男性が2名(10.5%)、女性が17名(89.5%)、看護師経験は15年以上の者が10名(52.6%)で最も多く、次いで10年以上15年未満が7名(36.8%)、5年以上10年未満と3年以上5年未満が共に1名(5.3%)の順となっていた。面接対象者の所属先は病院の病棟が11名(57.9%)、病院の退院支援部門と訪問看護ステーションは共に3名(15.8%)で、その他が2名(10.5%)となっていた。研修への参加状況については、「過去1年以内に『がん看護に関する所属施設内の研修』に参加した経験」のある者は10名(52.6%)、「過去1年以内に『がん看護に関する所属施設外の研修』に参加した経験」のある者は6名(31.6%)であった。また、「これまでに『退院支援、または在宅療養支援に関する研修』に参加した経験」のある者は11名(57.9%)と半数以上を占めており、そのうちの2名が「参加した時の研修のテーマが『地域包括ケアシステム』であった」と答えていた。その一方で、「これまでに『専門職連携に関する研修』に参加した経験」のある者は5名(26.3%)と少なかった 面接の中では、「がん高齢者自身の『療養生活の場の移行に関する意思の確認』をすること」と共に、「療養生活の場を住み慣れた地域に移行するには、がん高齢者を支える家族の意思確認も重要になる」という意見が多く聞かれた。さらに、「自宅や介護保険施設等において療養生活を営む場合には介護職の関与の度合いが大きいため、医療者と介護職のスキルアップを共に図っていくことが重要である」という意見を収集することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画書に記載したスケジュールに沿って面接調査を実施することはできた。しかし、19名の対象者から質的データを収集したため、面接データの分析に時間を要してしまい、研究活動の進行がやや遅れてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、面接調査によって収集したデータの分析をすすめることにより、がん高齢者が療養生活の場を病院から住み慣れた地域に移行する際に必要となる看護支援、および、住み慣れた地域で最期まで暮らし続けるために必要となる看護支援の骨子を明らかにする。その上で、上述した骨子を踏まえ、「がん高齢者の地域生活への移行と継続を支援する看護師のスキルアップ教育枠組み」を構築する。さらに、がん高齢者への支援に従事する看護師への面接調査を行い、この教育枠組みの有用性を確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
収集した面接データ整理のために人件費の確保を見込んでいたが、作業がスムーズに進行したため、人件費の支出が抑制された。加えて、国際学会での研究成果の公表のための旅費の支出を見込んでいたが、データ分析に時間を要してしまい、国際学会への参加が困難になった。 平成30年度は、収集した面接データの分析を着実に行い、学術雑誌への論文投稿時に必要となる英文校閲のための費用を研究費から主に支出していく計画である。
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