研究実績の概要 |
本研究は,認知症看護ケアチェックリスト第 1 版(Ikegami,2018)を用いて,認知症看護の実情を より明確に提示できるようなスコアの算定,評価法を検討し,施設の特徴および看護師 の経験年数などに応じた基準値を提供することを目的とした. 調査協力が得られた24施設1227名に調査票を郵送した.676名(回収率55.1%)の看護師より回答があり,そのうち有効回答数は595名(有効回答率88.0%)であった.対象者は,女性 554名,男性41名,平均年齢34.6歳(SD=9.5),平均臨床経験年数11.8 年(SD=9.1)であった. 認知症看護ケアチェックリスト第1版のスコアの算定の加重係数,修正ファクターに関わる対象者の個人属性(臨床経験,専門知識,協力関係など)の検討を行った結果,認知症看護ケアのトータルスコアを概観すると,臨床経験,専門知識,協力関係,認知症ケアの満足感・自信において有意差を示した.次に因子ごとの平均スコアを見ると,臨床経験での10年未満・10年以上では,第1因子,第3因子,第4因子,第6因子で有意差を示したが,第2因子,第5因子は有 意差を示さなかった. 専門知識は,項目によって違いはあるが6因子全てにおいて認知症全般の知識有 無で有意差を示した.認知症患者の言動による困惑の経験の有無,認知症ケアに対する不安の有無,認知症患者の身体症状の判断の自信の有無,認知症ケアの満足感の有無は,ほぼ6因子に 有意差を示した. 協力関係は,同僚の協力の有無・上司の協力の有無を含み,特に「同僚の協力」については,6 因子全てにおいて協力の有無で有意差を示した. 以上より,認知症看護ケアのトータルスコアを概観すると,属性である臨床経験,専門知識,協力関係,認知症ケアの満足感・自信において修正ファクターとして採用することが望ましいことが分かった.
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