本研究の目的は、介護保険施設で療養する認知症高齢者に対し、看護師と介護士が実施している認知症ケアのプロセスに焦点を当てた認知症ケア実践を具体的に評価するための指標を開発することである。認知症ケア指標の素案について、老年看護研究者、介護老人福祉施設の専門職者と検討し、指標素案55目を作成した。 認知症ケア指標の開発のため、全国の特別養護老人ホーム1000施設に対し調査票の配布依頼を行い、承諾が得られた場合に所属する看護師と介護士に対して調査票の配布を依頼した。調査内容は、対象者の基本属性として経験年数や所得資格、認知症ケアに関する研修会参加状況などであった。55項目の指標は、項目ごとで重要性と実施状況を7段階評価での解答を求めた。 調査は140施設(承諾率14%)より承諾を受け、看護師231名、介護士他586名に配布され、看護師182名(回収率78.8%)、介護士他451名(回収率76.9%)から調査票が回収された。これらの調査を基に、基本属性については記述統計により、経験年数、研修会参加状況、職場の居室類型や認知症ケア可算状況などについて傾向を確認した。指標項目については、探索的因子分析を行い項目精選を実施した。抽出された項目は、認知症高齢者理解に基づいたケアに関する項目、終末期ケアに関する項目、潜在能力を引き出すケアに関する項目などであった。抽出された項目について、項目内容の信頼性・妥当性について統計的に分析を行った。
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