研究課題
本研究は認知症高齢者と看護職者の関係性をケアリングの視点から捉え,認知症高齢者と看護職者の関係形成に活用する相補的なケアリングモデルを開発した。本研究においてケアリングとは,ケアする人・ケアされる人に生じる変化とともに,双方が成長発達をとげる関係と定義した(メイヤロフ,1987)。第一段階の調査としてインタビュー調査を行った。研究参加者は看護職者10名であり,6名にフォーカスグループインタビュー,4名に個別インタビューを行い,インタビュー結果を質的帰納的に分析した。分析の結果,【認知症高齢者との関係形成につながる看護職者の行為】【看護職者の状況】【看護職者と他者との関係】【看護職者との関係形成につながる認知症高齢者の行為】【認知症高齢者の状況】【認知症高齢者と他者との関係】【看護職者との関係形成による認知症高齢者の変化】【認知症高齢者との関係形成による看護職者の変化】の8カテゴリと40サブカテゴリが明らかになった。調査結果から,認知症高齢者と看護職者とのケアリングの関係性は,互いの行為を通して互いが変化するという相補的な共同行為であることが明らかになった。第二段階の調査として,インタビューデータをもとに作成した質問項目により,一般病棟や精神科病棟に勤務する1445名の看護師を対象としたアンケート調査を実施し,876名の回答を得て(回収率60.6%),有効回答788人について分析を行った。最尤法・プロマックス回転での因子分析により,25項目4因子が抽出され,さらに確証的因子分析により探索的因子分析で得られた仮設モデルの適合度を確認した。クロンバックα係数は.92と信頼性・妥当性は概ね良好であったため,今後は本研究で開発したケアリグモデルの具体的な活用について検討していきたい。
すべて 2018
すべて 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)