研究課題/領域番号 |
16K12212
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
赤司 千波 福岡県立大学, 看護学部, 教授 (90335977)
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研究分担者 |
大島 操 福岡県立大学, 看護学部, 講師 (40369872)
柴北 早苗 福岡県立大学, 看護学部, 助手 (60369874)
杉野 浩幸 福岡県立大学, 看護学部, 准教授 (90258434)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 終末期ケア / 看取りケア / 介護付有料老人ホーム |
研究実績の概要 |
介護付有料老人ホーム(介付H)に対して郵送法による質問紙調査を行い、終末期ケア(終C)と看取りケア(看C)の実態と両ケアの看護業務を明らかにし、介付Hに焦点をあてた終Cマニュアルの開発を行うこととした。研究協力者は、全国の介付Hから無作為に抽出した1000施設に対し、同意の得られた施設でかつ第1回目の調査票に回答(46施設)した施設の中から分析対象となった40施設(施設長と看護職者(Ns)各1名)。対象施設の概要は運営主体株式会社77%、Nsの日勤配置98%、夜勤配置15%、Nsの夜間のみの電話待機70%、訪問看護ステーションとの連携17%。緊急時の連絡と支援体制について(複数回答)は施設長等管理者45%、連携病院37%。終Cの取組み93%、看Cの取り組み90%。業務内容については終C(11項目)と看C(12項目)に取り組んでいる施設の管理者とNs共に「終Cの業務内容の重要度」について全てに対し「重要」と回答。終末期と看取りに関する意思表示については、終末期と看取りに関する意思表示を共に行っている入居者は「3割以下」40%。入居者の87%が「今居住しているホームで療養生活を過ごしたい」と思い、「延命治療は望まない」と回答者は把握。終Cに取組んでいる施設の状況は、終Cの方針有9割、終Cマニュアル有7割。入居者に対して入居時前に施設長やNs以外の職員が説明。入居者の終末期の過ごし方に関する意思の把握は「本人の健康状態が変化した時」約6割、家族も同様の結果。終Cを行ったと思われる平均期間は2.8ヶ月。看Cに取り組んでいる施設の状況は、看Cの方針有8割、看Cマニュアル有7割。入居者に対する説明を入居時までに施設長とNsがそれぞれ同率で行っていた。看Cを行ったと思われる平均日数は30日が13%、14日と3日がそれぞれ10%。上記の内容を回答施設にグラフを用いて具体的に報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1回目のアンケート調査を、調査時点から約1か月前に各都道府県のホームページで把握できた全国の介護付有料老人ホームのうち、研究協力の同意が得られた施設の施設長と看護職者1名に対して、終末期ケアと看取りケアの実態について郵送法による質問紙調査を平成28年7月~同年9月に行った。46施設から回答が得られたが分析対象は40施設であった。それらの施設の管理者と看護職者に結果報告とお礼を平成28年12月に行った。また、実際に2施設の介護付き有料老人ホームに訪問し、施設の状況について話を伺った。アンケート調査の結果と2施設の状況、文献をもとに試作の終末期ケアマニュアルを作成するために、第1回目の質問紙調査の分析を再度行っている。具体的にどのように試作して頂くか、その手順を作成中である。筆者が所属する領域の4名の教員のうち1名(共同研究者)が病休、またもう1名が3月に辞職したことから、平成29年4月からは役職の業務に加え、筆者を含め新任教員1名を加えた3名で領域内の業務を行うことが強いられた。想定外の人員不足から、当初の計画通りに研究が行われていない。よって、試作時期を8月までとし、その準備を行っている。
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今後の研究の推進方策 |
1)試作の終末期ケアマニュアルの試作を、第1回目の調査結果と文献をもとに平成29年8月まで完成させる。その際、該当施設での看護経験者らとマニュアルの内容について十分に検討を行う。作成後の8月に第1回目のアンケート調査に回答して頂いた40施設に郵送し試行をお願いする。研究を計画通りに進めるべく、研究支援者を雇用する。2)平成29年9月~10月の約2ヶ月間を試行期間とする。3)平成29年11月に、4ページ程度(要回答約15分)の試行の評価に関するアンケート調査を行う(試作の終末期ケアマニュアルを郵送後にアンケート調査票を作成しておく)。4)平成29年12月~平成30年3月までに、第2回目のアンケート調査(試行後の調査)の分析を行う。第2回目のアンケート調査結果についての報告とお礼を平成30年4月に行う。5)分析結果を学会で発表する。6)研究結果の報告書作成、論文作成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
アンケート調査への研究協力施設が予想外に少なかったために、研究支援者の雇用、分析の委託を行わなかった。また、研究協力施設が少なかったことから、郵送代、謝礼の総額も予定額より少額となった。また、学会発表を予定していたが発表もできなく、旅費の支出もなかった。当該年度には、筆者が所属する領域の教員数の充足が思うようにいかない状況にあり、当該年度の途中から厳しい状況にあった。
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次年度使用額の使用計画 |
マンパワー不足の状況で研究を遂行するために、研究支援者に支援してもらう業務と筆者が行う業務を区別し、今年度は研究支援者1名を述30日程度雇用したい(210,000円)。また、分析を委託したい(100,000円)。可能ならば、協力施設が現状より減じないことを期待して、マニュアル試行と第2回目の調査協力に対する謝金について、試行と調査を含め図書カード5,000円を10,000円に増額したい(10000×40施設=400,000円)。今年度は必ず学会発表を複数行う(計120,000円)。研究成果投稿を行う(100,000円)。郵送代(切手205円×40施設×2回=16,400円)。
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