研究課題/領域番号 |
16K12215
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研究機関 | 日本赤十字秋田看護大学 |
研究代表者 |
山田 典子 日本赤十字秋田看護大学, 看護学部看護学科, 教授 (10320863)
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研究分担者 |
大山 一志 日本赤十字秋田看護大学, 看護学部看護学科, 助教 (10707326)
渡邊 智 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20292005)
兵頭 秀樹 北海道大学, 医学研究科, 特任准教授 (30306154)
松橋 朋子 日本赤十字秋田短期大学, その他部局等, 助教 (30461718)
及川 真一 日本赤十字秋田短期大学, その他部局等, 助教 (50612678)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高齢者 / 体表 / アザ / 外傷 / 看護職 / 介護職 / 虐待の早期発見 / 法医学的観察視点 |
研究実績の概要 |
超高齢社会の日本において、高齢化に伴い増加する認知症や高齢者の孤独死が大きな社会問題となっている。申請者が介入している自治体における救急搬送患者の分析より、誤嚥、火災、転倒が原因の寝たきり、および虐待死など外因的な外傷死亡例が抽出された。さらに、西村ら(2015)の調査でも高齢者の火災事故46例のうち、認知症者は13例(28.3%)であり、認知症独居率は30.8%と自らを守る力と訴える力の低下が関連することが指摘されている。 また、高齢者は筋力や認知機能の低下により、本人が自覚しない痣や発赤や外傷などを負うことが少なくない。発赤等のある部位、位置、色、大きさなどの記録を取り、その部位や色、状況などから高齢者の身体的精神的社会的健康度とセルフケア能力低下、そして虐待被害のリスクを把握する必要がある。そこで、本研究では高齢者の体表の観察によって変色斑や損傷痕とみられる皮膚変化を発見した際、自他為の判断、受傷後の期間の解析のための基礎データの収集を行い、看護職や介護職らが適切に観察し、タイムリーに主治医に報告し、虐待やセルフネグレクトを未然に防げるようにデータの蓄積を行うものである。 H28年度はデータ収集の枠組みとなるスケールを法医学者達の協力を得て作成した。これは、高齢者の心身の変化を体表の観察から察知し、ケアへ反映させるために早期発見し、必要な支援に結び付けることができる体表観察スクリーニングツール(カラーチャート)である。県内5箇所の介護施設と4箇所の病院に調査協力の打診をした。協力施設から得たデータを元に、スケールの課題を抽出し、法医学者および現場の看護師・介護士の協力のもとカラーチャートの改良を行なっている途中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定では初年度は、体表観察スクリーニングツール(カラーチャート)の試作品を作成するところまでだったが、病院や介護の現場での試用を行い、かつ、スクリーニングツールの活用に向けた研修会を5回開催し、参加者から使い勝手について意見を収集した。その結果を基に、スクリーニングツールの改良まで進んだ。この先、100例のデータ収集を続け、そのデータを解析して、スクリーニングツールの画像診断スケールの改発に向けた支援体制ができた。よって、概ね順調に進展していると回答した。
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今後の研究の推進方策 |
現在20例弱のデータが集まっており、その分析を進めている。 目標となる100例の収集に向けて、協力施設と連携しながらデータ収集に努める予定である。 介護施設ではデータを採取しているが、データを提供してくれないので、研究費の前倒しをして謝金を確保した。1事例で10~20枚の画像が見込まれるため、残りの800~1600画像の獲得に努めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
体表観察のスケール(カラーチャート)の作成と改良は順調に進んだが、患者さんのデータの回収が思うように進まなかったため。研究協力の謝金と、研究協力機関の拡大にむけた準備経費を請求した。
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次年度使用額の使用計画 |
体表観察スケールを用いた患者および療養者の体表観察記録(写真と記述データ)の回収のため、データ提供の謝礼に用いる。 また、データの収集が難航する場合は、あたらに研究協力施設を拡大し、調査を進めていく。そのためにカメラと記録メディアを追加購入する。 また、体表観察スケールの活用を促進するため、学会等で改良版の紹介をする。
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