高齢脳梗塞患者の入院時におけるせん妄アセスメントツールの開発を目指し、研究の第一段階として高度看護実践者のせん妄アセスメントに関する観察点を明らかにするため、脳梗塞患者の急性期治療を担う医療施設に勤務経験のある看護師で、老人看護専門看護師等など6名にインタビューを実施した。2019年3~4月にデータ収集を実施した。分析の結果、高齢患者の脳梗塞による神経症状、入院前後の生活機能、心理の変化、生活史などを観察していた。第二段階として、脳梗塞治療のために入院した高齢者のせん妄のリスクアセスメントのために看護実践者が重要視する観察点の抽出を目的とした研究を実施した。 第一段階の研究からの観察点76項目について「入院当日」と「翌日以降」の2時点における重要性を自記式無記名式質問紙調査法で調査した。データ収集は2019年12月~翌年1月に行った。分析対象者251名の看護師は、脳血管疾患患者の実践経験は平均7.1年であった。入院当日の観察項目において分析対象の80%以上が「とても重要」と回答した項目は、「見当識」(86.5%)「意識レベル」(84.5%)「認知症の程度」(82.4%)「ルート類や安静度への理解度」(81.2%)「ルート類や安静度の受け入れ」(80.9%)「言語理解」(80.1%)の6項目であった。「翌日以降」では70%以上が「とても重要」と回答した項目は「脳梗塞発症からの経過時間」(74.1%)などの3項目のみで、入院当日の観察の重要性の高さが明らかとなった。入院当日の重要性の高い観察項目の多重共線性の確認後「ルート類や安静度の受け入れ」を除いた5項目で因子分析(バリマックス回転)を実施したところ1因子構造で寄与率45.3%であることがわかった。 今後、入院時のアセスメントツールとしての利便性からこれら5項目を中心としたアセスメントツールの妥当性の確認を進める必要がある。
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