研究成果の概要 |
地域在住高齢者10名前後を対象に週1回,1時間,計8回のグループ回想法を実践した。平成28年度は,一般回想法として,懐かしいモノを使った実践を行ない, 結果介入前後で,認知機能検査における記憶力において改善がみられた。平成29年度は,テーマ毎の懐かしい音を使った回想法を実践し,結果,介入前後で,うつ状態に改善が得られた。平成30年度は,テーマ毎の懐かしい匂いを使った回想法の実践を行なったが,初回から元気な高齢者が多く参加し,介入前後で有意な結果は得られなかった。 3回のセッション評価では,短期効果を検証し,情緒面に効果が得られた。グループでの積極的な交流も見られ,大きな変化がみられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究は,新しい回想法の手法を開発することで,懐かしい古い道具がなくても,音を集めたCDや匂いにより,手軽に回想法が実施できる。また従来の回想法と音や匂いを使った回想法を比較することにより,効果を評価するものである。 また新たに多様な感覚刺激を用いる方法が開発され,対象の特性に合わせた方法の選択ができる。それらを用いて健康支援や介護予防の実施に貢献できる。長期的には,介護保険・医療費削減にも効果が期待される。また地域における介護予防として認知症の早期発見及び回想法終了後の自主活動グループとして社会参加やQOL向上に成果が期待される。今後の日本の健康長寿を支えるために意義あるものと考える。
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