研究課題/領域番号 |
16K12225
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研究機関 | 日本赤十字豊田看護大学 |
研究代表者 |
神谷 智子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 助教 (90440833)
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研究分担者 |
福田 由紀子 人間環境大学, 看護学部, 准教授 (00321034)
臼井 キミカ 人間環境大学, 看護学部, 教授 (10281271)
杉浦 美佐子 椙山女学園大学, 看護学部, 教授 (40226436)
竹内 貴子 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 助手 (70387918)
安藤 純子 人間環境大学, 看護学部, 教授 (70441558)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / 笑い / 非薬物療法 / 老人保健施設 / 認知症ケア |
研究実績の概要 |
本研究は、認知症高齢者でも容易にでき、自然な笑いと同様の効果が期待される表情筋運動プログラムを開発し、その効果を認知機能、認知症周辺症状の変化、心身のリラクセーション効果に加え、前頭葉の活動変化の視点からも評価し、新たな認知症ケアとしての有用性を検討することを目的としている。 研究の初年度である平成28年度は、研究準備期間とした。笑いの健康への影響および認知症高齢者と笑いの効果などに関しての文献検討を行い、笑いの介入方法や評価指標などについて再検討するとともに、研究計画の見直しや研究チームの再構成を行った。 Chiyoe Mら(2016)は、自立高齢者(65 歳以上)を対象に、GDS(高齢者用うつ尺度)15 項目版を4 年間追跡調査したところ、ポジティブ感情の高い高齢者は認知症を発症するリスクが有意に低い結果を得たことを報告している。そこで、本研究の調査項目に新たに「ポジティブ感情」に関する項目を調査に追加することとした。 2年目である平成29年度は、前年度に得られた文献検討結果から、対象者を認知症高齢者のみではなく、一般高齢者への介入研究の必要性が示唆されたため研究計画の見直しを行った。第一段階として、一般高齢者の笑いの頻度とポジティブ感情、健康関連QOLとの関連を明らかにする質問紙調査と一般高齢者への表情筋運動の縦断的介入を計画に追加し、研究倫理審査の承認を得た。一般高齢者への介入研究の結果をもとに、今後は老人保健施設で生活する認知症高齢者を対象に介入研究を進めていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度に実施した文献検討の結果から、一般高齢者を対象にした研究計画にポジティブ感情と笑いの頻度、健康関連QOLに関する調査の必要性が明らかになったため、新たに質問紙を作成した。その過程の中で、質問紙のプレテスト、研究倫理審査及び研究対象者の募集に時間を要したため、研究の進行がやや遅れてしまった結果となった。 現在は、研究倫理審査を経て対象者2500人も決定し、質問紙調査を実施中である。この質問紙調査の結果から、笑いに関連する表情筋運動を対象群とコントロール群に縦断的に介入した結果を調査し、まとめていく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度中に、一般高齢者への表情筋運動の縦断的な効果を明らかにし、その結果をもとに、対象となる老人保健施設で生活する認知症高齢者へ介入研究を実施する予定である。介入期間は6ヶ月間を予定しているため、途中経過をその都度分析しながら進めていく予定である。対象者の確保に関しては、集団で生活する認知症高齢者を対象とするため、老人保健施設以外にグループホームや有料老人ホームなども視野に入れて幅広く募集をしていく計画を立てている。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度までの計画では、近赤外線分光法(NIRS)の測定機器として、日立メディコ製のウェアラブル光トポグラフィーを購入する予定であった。しかし、研究計画の見直しによって、表情筋運動の効果を評価する指標として、NIRSに加え脳波や自律神経活動も必要であることが示唆されたため、バイタルモニターProComp Infinitiを使用し、心拍変動、皮膚電気活動、末梢皮膚温を測定することとした。評価指標を何にするのか、また機器の選択に時間を要したため、購入にまで至らなかった。次年度は、これらの機器を購入することに加え、表情筋の硬度計の購入や質問紙調査で使用する尺度の使用料等も次年度の使用額に含める計画をしている。
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