研究課題/領域番号 |
16K12227
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研究機関 | 園田学園女子大学 |
研究代表者 |
坂元 眞由美 (川島眞由美) 園田学園女子大学, 健康科学部, 教授 (10437444)
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研究分担者 |
長尾 式子 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (40396700)
グライナー 智恵子 神戸大学, 保健学研究科, 教授 (20305270)
竹田 伸也 鳥取大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (00441569)
林谷 啓美 園田学園女子大学, 健康科学部, 助教 (80585373)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ライフコース / ライフストーリー / 認知症高齢者 / パリアティヴケア / 認知機能評価 |
研究実績の概要 |
本研究はスピリチュアルペインを抱えている認知症高齢者に対して、失われた本来の「生き方」に焦点をあてたライフコース的アプローチを基盤にした生きがい支援プログラムを開発することにある。本年度は文献レビューを中心に以下の点について明らかにした。(1)ライフコース理論・認知症高齢者へのライフコースアプローチ研究やライフストーリー研究についてレビューを行い認知症高齢者へのケアのためのライフコース的アプローチを用いた体系化されたスキルや研究がないことが明らかとなった。しかし、ライフコースやライフストーリーを用いることで、認知症高齢者の個の理解が可能なこと、さらに、それを認知症高齢者へのスピリチュアルケアへ展開できることが確認された。なお、ライフコース的アプローチ分析のスキルについては社会学的視点と心理学的視点の両者から分析することがプログラム開発において重要であることが明らかとなった。ここで、プログラム開発に必要な概念枠組みや分析に必要な項目を明確にした。(2)認知機能評価について、認知機能障害や認知機能低下による生活機能障害に焦点を当てた評価を病院や施設、地域支援で用いることが一般的である。しかし、本研究では、問題点や障害に焦点を当てるのではなく、日常の生活支援と直結する認知機能評価について、文献レビューを行った。結果、認知症の生活機能支援に直結する評価は存在しないことを確認した。そのため、認知症患者が日常生活で強みを生かすアセスメント方法をプログラムに追加する必要がある。(3)認知症患者へのスピリチュアルケアについて文献レビューを行った。認知症患者へのスピリチュアルケア単体での論文はほとんどなかったが、パリアティブケアへとシフトしていることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定した通り、文献レビューを中心に認知症高齢者への生きがい支援プログラム開発の土台となる概念枠組み・分析に必要な項目の明確化及び関連性を明らかにできた点については、プログラムの作成にあたり、研究進展区分を概ね順調に研究が進展しているとした理由である。ただし、生きがい支援プログラム作成にあたり、新たな日常生活での強みを引き出す認知機能のアセスメント手法の必要性が明らかとなり、H29年度プログラム開発研究計画に追加修正が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
1.【効率的分析手法の検討と簡便かつ精度の高い評価フォーマットの作成と検証】平成28年度に抽出された項目を分析手法に合わせて総合的に分析する評価フォーマットの検討をする。この時、フォーマットを使用し簡便かつ精度が高い分析が可能になるよう作成する。さらに、多職種研究者との意見交換および現場の看護師、介護師、家族への検証(分析手法および評価フォーマットの活用可能性・精度について) およびフォーカスグループインタビュー調査を行い、必要な修正を加え精度を高める。なお、H28年度に新たに計画に追加された日常生活での強みを引き出す認知機能のアセスメント手法についてもリフレイムの技法をいれて検討する。 2.【フォーマットを用いた分析手法のマニュアルの作成と検証】現場の看護師・介護師を対象に分析手法をマニュアルにて教示し、フォーマットを用いて認知症高齢者を評価してもらう。その後、グループインタビュー調査を行い、必要な修正を加え精度を高める。3.【生きがい支援提供時のケアポイントマニュアルの作成】分析結果をもとに生きがい支援内容の決定~準備~実施~実施後評価にいたる一連のマニュアルの作成 4.【分析から生きがい支援に至るまでのマニュアル使用の検討】看護師・介護師実施してもらい、グループインタビュー調査を行い必要な修正を加え簡便かつ効率よいものへと改善 5.【文献レビュー結果の論文化】H28年度文献レビューした成果を論文化する
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次年度使用額が生じた理由 |
H28年度は文献レビューを中心とした研究であったため、当初予定の物品購入を控えた
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次年度使用額の使用計画 |
H29年度は、必要な物品の購入とH28年度文献レビュー結果の成果を論文化するための投稿費用および英文校正費用・マニュアル作成にあたり研究会が増加する予定であるため必要な交通費等を中心に使用する予定である。
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