研究課題/領域番号 |
16K12229
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研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
松本 啓子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (70249556)
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研究分担者 |
名越 恵美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (20341141)
伊東 美佐江 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (00335754)
桐野 匡史 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (40453203)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 在宅認知症高齢者 / 医療的ケア / 急変時対応 / 包括連携システム |
研究実績の概要 |
2000年に介護保険制度が施行され、幾度もの改編を繰り返している。今なお、国や行政の方針は、家族による在宅介護を推奨している。加えて、その負担も決して軽減されてはいない。現在、要支援及び要介護認定者数は、620万人(2015年)であり、年々増加の一途を辿っている。国民生活基礎調査においても、要介護者の7割は同居及び別居の家族による介護を受けている。家族の介護負担の中には、要介護者の容態急変などの緊急事態の対応に対する不安や負担が挙げられる。特に医学的知識の豊富とはいえない一般的な家族介護者が、場合によっては、医療的ケアに対する緊急に伴う対処を迫られることになる。介護負担や疲弊感は介護うつや介護心中、介護殺人など、在宅介護現場における重篤な状況に陥る可能性がある。文献検討において、該当研究領域の潮流についての方向性については、踏まえられたと考える。これまでに集積した現場の状況やシステム、家族や関わる職員の思いに着目した上で、地域連携システム構築へ向けた調査に進む予定である。文献検討及び介護老人福祉施設に所属する看護師等の専門職者からのインタビュ-を通して、地域包括ケアを踏まえたうえでの、地域連携システム構築の可能性を模索している。次段階においては、量的調査を通して、実情を把握したうえで、関連要因の検討に繋げていく予定である。具体的には①在宅認知症高齢者の急変時対応に関する家族介護者の医療的ケアに関する検討(文献/質的)を行う。②在宅認知症高齢者の急変時対応等に関する医療的ケアを行う施設側の実態を明らかにする。③急変時対応に関する医療的ケアにおける包括連携システムモデルの構築をする。と進める。実際に、①の研究の潮流は把握できてきていると考えられるため、施設側及びシステムモデル構築としての分析可能なデータの収集を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、おおむね予定通りの研究進捗である。現在までに明らかにした点は、在宅認知症高齢者の家族介護者と同様に、介護老人福祉施設に勤務する看護職者や福祉職者である介護士にも、その利用者の急変時の対応には不安や負担が大きいことが明らかとなった。職種の専門性によって、急変時対応時の思いは様々であるが、一定の傾向があることが窺えた。これまでの実態調査やインタビューなどによって質的に明らかにしてきたカテゴリーや要因を基に、予定通り、量的分析に進めるように、アンケートの準備や尺度の選択に進む予定である。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究における方向性としては、地域包括連携を視野に入れたシステムを概観できる現地調査の予定である。これまでの研究経緯を踏まえて2つの課題を明らかにしたいと考えている。 1)地域包括ケアシステム構築の可能性を探るために、地域や行政組織やシステムとの連携に関する調査 2)地域連携システムの実践家とされる専門職者への調査 上記2点の課題を明らかにするために、該当領域の調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
分担者の助成金配分の中で、出張用に捻出した費用において、予定していた出張日程より短くなったため次年度使用額が生じました。
使用計画:平成30年度、当初予算を鑑みたうえで、業者依頼や納品価格、出張費の予算等の確認を行いながら進めていきたいと考えます。具体的には、前年度の残金と今年度の金額をあわせて、当初予定の現地調査における調査用紙配付施設の一定数の確保をすることとを計画に加えたいと考えます。
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