研究課題/領域番号 |
16K12229
|
研究機関 | 川崎医療福祉大学 |
研究代表者 |
松本 啓子 川崎医療福祉大学, 医療福祉学部, 教授 (70249556)
|
研究分担者 |
名越 恵美 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (20341141)
伊東 美佐江 山口大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00335754)
桐野 匡史 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (40453203)
|
研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 在宅認知症高齢者 / 医療的ケア / 急変時対応 / 包括連携システム |
研究実績の概要 |
介護保険制度の変遷を踏まえて、在宅認知症高齢者の医療的ケアに関する急変時対応に絡む現象や要因を検討し、それらとその他の要因との関連について検討した。 特に、平成30年度は最終年度に向けて、これまでに収集及び分析を重ねた結果をもとに、課題の検討及び、そこから明らかとなった地域包括連携の課題を掘り下げるために、急変時対応包括連携システムモデル案の作成に向けて、質的調査を実施した。 具体的には、地域包括連携システムを運用している地方自治体に実際に出向き、そこで実際のシステムを運用しているリーダー役割を担う職種や組織に所属する多職種(医師、歯科医師、リハビリ技師、看護師、ケアマネ、薬剤師、介護士等)を対象に、地域包括連携に関する現場での活動を現象と捉えたうえで、質的因子探索的な調査を実施した。そこから抽出された概要は、地方自治体による地域包括連携の運用では、自治体の持つ個別性の違いによって成立や運用の実際が大きく変わっていた。地方自治体の規模、わが国における、その土地の交通条件の優位、または非優位、これまで長年培われてきた既成事実とある程度固まっている町民や組織に所属してきた関係職員の固定概念などであった。準備性も含めて、できるべくして地域包括連携システムが出来上がっている部分もあったが、ある一定の到達度まで来ると、そこからさらに広がることは考えにくそうな地域性もあった。さらに地域を変えて、多職種へのインタビューを重ねていく必要がある。地域を固定せず、インタビュー及び研究協力可能な地域の参加による豊富なデータの蓄積により、さらに一般化につながる可能性を深めたデータのコード化につながると言える。平成30年度に収集したデータを基に、急変時対応包括連携システムモデル案構築に向けて、今後さらに詳細な分析へと進めていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、おおむね予定通りの研究進捗である。現在までに明らかにした点は、在宅認知症高齢者の家族介護者と同様に、介護老人福祉施設に勤務する福祉専門職者である介護士にも、その施設入所者の急変時の対応には不安や負担が大きいことは明らかとなった。家族介護者の負担感や疲弊と同様に、職種の専門性によっても、急変時の対応への思いは様々である。これまでに、文献検討において、国内、海外における在宅認知症高齢者とその家族を取り巻く制度や状況、研究の潮流を明らかにしてきた。加えて、わが国における在宅認知症高齢者の家族介護者の思いを現象として捉えてカテゴリー化を行ってきた。また、家族介護者と同様にその立場と近しい状況にある介護老人福祉施設に所属している介護職者の思いを質的に分析継続してきた。また、昨年度はそれらに加えて、地域包括ケアの視点から地域に根付いた活動を行っている医師やコメディカルから、多職種連携の現状についての思いを現象として捉えたうえで質的に分析を重ねた。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究における方向性としては、平成30年度に実施した、地域包括連携を視野に入れたシステムを概観するシステム案の構築に向けた現地調査の結果を踏まえ、多職種から収集したデータを分析する。データを基に質的な分析を行う。加えて、これまでに行ってきた調査結果を統合的に捉えて、包括的に介入できるモデルとして、医療的ケアというキーワードを踏まえた、看護職ならではの介入の可能性のある包括連携システムモデルの指標案を作成する予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
分担者の助成金配分の中で、出張用に捻出した費用において、予定していた出張日程よりも短くなったため次年度使用額が生じました。
使用計画:平成31年度、当初予算を鑑みたうえで、業者依頼や物品価格、出張費の予算等の確認を行いながら進めていきたいと考えます。具体的には前年度の残金と今年度の金額を合わせて、当初予定の成果発表における資料や日程調整等、計画的に使用したいと考えます。
|