研究実績の概要 |
本研究は、訪問看護を利用する在宅療養高齢者の皮膚障害、主に褥瘡、スキン-テア(皮膚裂傷)と排泄物に起因する皮膚障害に対する予防対策、皮膚障害発生後の対処方法についての実態を明らかにし、皮膚障害予防対策、皮膚障害発生後の早期改善のためのケアプログラムを開発することを目的としている。全国訪問看護事業協会ホームページに掲載されている訪問看護ステーションから系統抽出法により抽出した訪問看護ステーション1,740箇所に無記名自己記入式の調査票を郵送し、276通の有効な返信があった。質問紙調査の主な結果として、スキン-テア、褥瘡、排泄物に起因する皮膚障害の対処方法については、医師が処方した軟膏による対応が多く、皮膚の洗浄も多く実施されていた。一方、使用する材料が手に入りにくいという意見も多く、予防対策の一つとしてはワセリンが広く使用されていた。さらに、訪問看護師の在宅における皮膚障害対応に関する課題については、在宅医や急性期病院との連携上の困難さ、家族、介護力に関する課題、関係者の皮膚障害への関心、知識不足、特定保険医療材料を含む衛生材料等の入手に関する課題等が示された。これら研究の一部を成果発表として日本褥瘡学会誌に投稿し受理され、2022年秋頃発刊予定の学会誌に掲載される予定である。また、オンラインを活用し、訪問看護師及び学内研究分担者と検討を重ね皮膚膚障害予防対策、皮膚障害発生後の早期改善のためのケアプログラムの素案を作成した。
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