研究課題/領域番号 |
16K12234
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
岡田 佳詠 国際医療福祉大学, 成田看護学部, 教授 (60276201)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知行動療法 / 教育 / 研修 / 看護師 / スーパービジョン |
研究実績の概要 |
2年目にあたる平成29年度は、認知行動療法(以下、CBT)を実施する看護師へのスーパービジョン(以下、SV)に必要な態度・スキルを明らかにすることを目的に、質的帰納的研究を実施した。CBTを実施する看護師へのSVの経験のある、あるいはCBTの専門家による個別SVを受けた経験のある看護師5名に対して、看護師へのCBTのSVに必要な態度やコミュニケーション等のスキルに関するインタビューを実施し、質的分析を行った。その結果、看護師へのSVは、患者へのCBTと同様に構造化した枠組みで行うこと、看護師のニーズや特性を見極めながらできているところを積極的に承認する、あるいは指導的にかかわること、ソクラテス式質問法を活用しながら看護師自身で改善点を見つけられるようにすること等が、必要な態度・スキルとして示された。 さらに、CBTを実践する看護師へのグループSVの効果に関するランダム化比較試験を試みた。グループSVを含めた教育研修プログラムは、1クール5日間、3ヶ月で構成され、第1・2日目は全員がCBTの概要と方法を講義・演習で学び、ランダム割付後、グループSV実施群は月1回、計3回のグループSVを受けながらCBTを実施し、未実施群は研修内容を参考にCBTを自身で実施し、グループSV最終日と同日にフォローアップ研修を受けた。スーパーバイザーは、CBTの実践経験が数年以上、看護師へのSVを含む教育研修経験が2年以上あり、修士以上の学位を持つ精神科看護師が担当した。認知療法認識尺度(CTAS)、一般性セルフ・エフィカシー尺度(GSES)、問題解決行動自己評価尺度(PSSN)を、第1日目開始前、第2日目終了後、最終回、終了1ヶ月後等で、また認知療法尺度(CTRS)を第2日目と最終回に測定し、両群間で比較検討中である。現在、3クール目を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今後、CBTを実施する看護師のためのスーパーバイザー養成プログラムを作成・評価する予定で、そのために必要なデータを得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
平成30年度は、これまでの成果をもとに、CBTを実施する看護師をSVするスーパーバイザー養成プログラムを作成し、CBTの実践経験があり、スーパーバイザーをめざす看護師に対して実施し、量的・質的データを収集・分析、結果を統合して、プログラムの評価を行う。量的・質的データは、スーパーバイザーをめざす看護師とスーパーバイジーである看護師の両者から収集し、スーパーバイザーをめざす看護師にはSVに関する知識・スキルの変化の程度、スーパーバイザーとしての目標と達成度、知識・スキルの理解の程度や実践力の変化、今後の課題等について、スーパーバイジーにはCBTの知識・スキル、実践力等の変化の程度等について、質問紙調査やインタビューにより収集する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、予定していた海外での成果発表を、渡航先の国内事情により中止したことの影響が大きいと考えられる。平成30年度の使用計画として、国内外での成果発表を積極的に行うとともに、スーパーバイザー養成プログラムを数クール実施すること、成果の英文誌への投稿も行う予定である。
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